第546回『高齢期の悟り(老年的超越)に繋がる生きづらい今の世の中』(2024年11月3日 46min)
(2024年11月17日)
これは11月3日の大阪のセミナーでの講義の一部です。
心理学者が発見した近年の長寿先進国社会の超高齢者の一部に生じている仏教の悟りのような至福の心理状態(老年的超越)は、驚くべきことに、順風満帆な人生を送った人ではなく、多難な人生を送った人に多く、またより高齢の年齢層に多いことが分かっている。
すなわち、人生の困難が普通の人には苦しみが増していく高齢期を逆の幸福に生きるための心理状態を培うように作用するのである。
これは、ブッダの教えにも通じ、悟りを得る上で、人生苦がきっかけになり、老いや病が悟りを促進する面があるというものだ。すなわち、前の時代や途上国と異なって、現在の先進国社会福祉国家は、内戦がなく福祉や医療の社会制度が整い、生きるに大きな障害はない一方で、多くの人が生きづらさ・ストレスを感じていると思われるが、その中での心の持ち方・生き方によっては、それが人生終盤の至福に繋がる可能性を秘めている。