第412回『仏教の解脱思想を裏付ける最新科学:無我・縁起・空』(2019年7月7日福岡 78min)
(2019年7月19日)
1.無我・非我:心や体などは、私や私のものではない。
認知科学・脳神経学の発見は、私たちの「意識」は、単なる傍観者であり、心や体を動かしていない。無意識の脳活動が心や体を動かしており、その活動のハイライト映画を見ているのが「意識」に過ぎない。
2.縁起の法:自他を含めた万物相互依存
全ての生き物は、地球上の同じ分子を共有・交換・樹幹させて身体を形成している。思考も、言語・知識・情報を皆で共有・交換しながら生じている。試行を左右する脳の状態は、身体の状態、更には外的な環境の影響の下にある。
3.空の思想:現実は夢・幻影・実体がない
人の世界の感じ方=「現実」と、世界の実際の在り方は、大きく異なる。「現実」とは、科学的な真実とは相当に異なっており、五感と思考に基づいて、「脳が作り出すイマジネーション」である。その点で、夜の夢と大差がない。五感は、世界のごく一部の情報をとらえるのみで、大きな偏りがあり、それから脳が、様々な推理・想像・イマジネーションをして、言葉による思考によって更に色付けした(歪めた)結果が、「現実」という三次元立体映画である。
4.仏教の無我(非我)とヨーガの真我の思想による悟りの瞑想
(1)仏教(禅)由来のマインドフルネス瞑想
自分自身(メタ認知)と、自分の思考や感情の脱同一化を図る
(2)初期仏教の四念処の瞑想
身不浄=身体は不浄、受苦=感覚は苦しみ、
心無常=心は無常、法無我=諸存在(事物)は私ではない。
(3)初期仏教の五蘊無我の瞑想
色(身体)は無我
受(感覚作用)は無我
想(表層イメージ作用)は無我
行(意志作用)は無我
識(認識作用)は無我