第349回『仏教の深層心理学が説く幸福の決め手:全ての苦の根源=無智とは何か』(2017年11月19日福岡 70min)
(2017年11月21日)
1.仏教が説く全ての苦しみ・煩悩の根源=「無智」とは
今の自分さえ良ければ、という心の働き。目先の喜び、自分だけの幸福にとらわれるあまり様々な苦しみを招く。
智慧とは、長期的に他と共に得るのが真の幸福と悟った心の状態で慈悲と一体。これは、継続的な努力=「精進」の精神につながる。
2.精進の不足=怠惰が、様々な苦しみ・煩悩の根本原因である
(1)慢心:自分の力を過信し、継続的な努力がなくても、今が続くという思い。
(2)卑屈:自分はできないと言うが、裏にできるようになる努力を嫌がる心がある
(3)妬み:優れた者を自分の見本として努力せず、自分の幸福の邪魔と見る
3.精進の教え
(1)今なしている善行を続け、なしていない善を未来になすように努める。
(2)今なしている悪行を止め、なしていない悪行を予防するように努める。
4.仏陀の心(万物への愛)と精進の精神は一体であるの関係
(1)仏陀の利他心の背景には、自と他の幸福を一体と見る智慧がある社会・世界全体の幸福こそが、自己の真の幸福の道という見方。
(2)他の苦しみを取り除く努力は、自己の未来の苦しみを取り除くこと。
(3)妬まずに他の幸福を喜び見習うことが、自分を成長させて幸福にする。
(4)他の悪行を自分の反面教師と見て学び、怒らないことが自分の悪行を予防する。
5.精進の不足による現代人の病理的な行動
(1)容易には得られないと思うと、地道な努力をせずに逃げる。→引きこもり、自殺。
(2)得られないことを努力不足ではなく、他人のせいにする。→責任転嫁、被害妄想
(3)正当な努力せず不正な手段で幸福を得ようとする。→企業・政治家の不正・偽装
(4)不健康・不健全な手段に依存する。→薬物その他の依存症。