第350回『仏教が説く幸福の奥儀:自分と他人を変える精進の教え』(2017年11月26日東京 98min)
(2017年11月27日)
身近な言葉だがその奥儀は知られていない仏教の「精進」の教えを解説。
自分では気づきにくい卑屈・妬み・怒りの原因、自尊感情・他への愛の不足の原因が分かって眼から鱗の講義。
1.仏教が説く全ての苦しみの根源は「無智」
2.伝統仏教の無智と智慧の概念:理解が難しい
(1)釈迦の無智の説明:四顛倒
(2)大乗仏教の根本無智の説明:覚醒状態の喪失と自他の区別。
(3)仏陀とは「目覚めた人」、智慧は仏陀の本質の一つ。
3.智慧:縁起や空の理法を理解する認識力
(1)縁起思想:万物は相互に依存しあって存在する(万物相互依存)
(2)空の思想:万物は固定した実体がない
(3)縁起と空は一体の思想。
(4)仏陀の智慧は、無分別智とも。対極的な二者の区別を超えた智慧。
自他、苦楽、優劣も一体など。
4.仏教用語を使わない無智と智慧の簡明な説明
(1)無智の簡明な説明
今の自分だけが良ければいい。自分だけ早く楽に幸福になりたい、
(2)智慧の簡明な説明
長期的に、他者・万物と共に得るものが真の幸福という理解
他者を利することが、自己を利する道という理解
(3)智慧と慈悲と精進(継続的な努力)は一体
5.精進の教え
(1)初期仏教の精進(八正道などの正精進)の教え:四正勤(四正断)
①今なしている善行を続ける・強める
②今なしていない善行を未来になすように努める
③今なしている悪行を止める
④今なしていない悪行を未来にもなさないように努める
(2)大乗仏教の精進(六波羅蜜=六つの完成の精進)教え
①鎧の精進:勇気を持って修行の道(菩薩の道)に入る(開始の精進)
②実行の精進:今日できることは今日行って明日に延ばさない
③あくなき精進:一生たゆまず努力し続ける
(3)二極を断った精進
①焦らず弛まず、無理せず怠けず、という中道の精神
②卑屈は直ぐに結果を求めて焦り、慢心があるとすぐに弛む