第249回『仏教の心理学 心の三毒と知恵と慈悲について』(2015年8月9日 大阪 101min)
(2015年8月10日)
第2章「自と他に対する嫌悪を超える智慧」の解説
仏教は信仰というより深い心の分析に基づき、悟ることを求めた悟りの哲学で、心理学が含まれているといえる。
西洋と東洋の心理学の違いは、西洋の心理学は表面的な部分で心理療法が中心だが、仏教の心理学は、すべての人々の苦しみから、悟りにいたることをめざすより根本的な心理学。
仏教では無智からすべての苦しみは生じているとする。
無智とは自分さえよければいい、すぐに楽に幸福に、という気持ち。
無智から貪りと怒りが生じる。これが心の三毒である。
●コンプレックスを脱却するにはどうしたらいいのか。
人は無智という根本煩悩のために、目先の楽に引き付けられやすいが、その裏には様々な苦しみをもたらすことを十分理解してない。
しかし、頭でわかってもなかなか離脱できないため、それには地道な努力が必要。
無智から劣等感が生じるが、劣等感があるとき、卑屈にならずに、克服する努力をしたり、他を活かして幸福になることや、やさしさを培うことで乗り越えられる。
劣等感は劣等コンプレックスとなり、卑屈や他責から優越コンプレックスに陥る。
智慧があれば今だけでなく長期的に見る。
自分だけでなく他とともに幸福になることを考える。
慈悲は他(全体)の幸福を願うことで、自と他双方の幸福をめざす。
自と他の幸福は一体である。