第310回『四無量心の教えの中核:他を利することは自己を利すること』(2016年12月21日 長野 53min)
(2016年12月21日)
1)四無量心の教え:基礎編
1.四無量心は、仏陀の心であり、仏教の基本で、最も重要な教えの一つ
一言で言えば、四つの計り知れない利他の心
静まった落ち着いた、広大無辺な利他の心
2.四つの無量心は、慈・悲・喜・捨の四つの無量心である。
3.無量とは計り知れないとの意で、無量の広さと深さの利他の心
計り知れない広さ:無数の全ての生き物への利他の心
計り知れない深さ:仏陀の境地に導く深い利他の心
4.慈:マイトリー:他の幸福を願い、楽を与える。
5.悲:カルナー:他の苦しみを悲しみ、苦しみを取り除く
6.喜:ムディター:他の幸福を喜ぶ。他の善行を称賛する
7.捨:ウペクシャー:平静で平等な心
平静な心:苦楽による浮き沈みがない落ち着いた心
平等な心:好き嫌いがなく、万人万物に等しく利する心
無関心・無頓着の意味も:自己の苦に頓着しない、他の悪行に怒らない
2)四無量心の教え:上級編
1.四無量心は煩悩を和らげる
他に楽を与える(楽を分かち合う)慈は、貪り・独占を和らげる
他の苦を抜く(苦を分かち合う)悲は、冷淡を和らげる
他の幸福を喜び、善行を称賛する喜は、妬みを和らげる
平静な心=捨は、怒り、苦楽を区別する無智を和らげる
2.四無量心と智慧
1.仏陀の智慧:無分別智(万物が相互依存という縁起の法を悟る智恵)
智恵:自他は一つ、自他の幸福は一つであると悟った智恵(輪の悟り)
無智:自他は別物、自他の幸福は別物と錯覚し、自分のものを際限なく求めて他と争う(煩悩)
2.他に楽を与えることは、自己に楽を与えること
例えば、楽への際限のない貪りを回避し、四苦八苦を超える
3.他の苦を抜くことは、自己の苦を抜くこと
例えば、他の苦を取り除き、自己の苦を未然に防ぐ
観音菩薩の誕生の説話
4.他の善行を称賛し見習えば、自己の善行が増える
5.他の悪行に怒らずに、反面教師にすれば、自己の悪行が減る
智慧と四無量心は一体、智慧が四無量心を支える
→自他の幸福・不幸・善行・悪行は繋がっているとの悟り