2018年11月
第388回『未来の苦を直視して対処する仏陀の人生哲学:高齢化社会・消費税の不安も』(2018年11月18日 福岡 75min) (2018年11月19日)
1.講義の趣旨
仏教開祖ゴータマ・シッダッタの思想は、その最初の説法に見られるように、人生の苦しみを直視して正しく予期し、それに対処する準備をなして乗り越える性質を持つ。
一方、仏陀の生き方と比較すると、普通の人は、人生の苦を十分に直視して予期することができておらず、単に「幸福になりたい」「苦しみが来ないで欲しい」と願うだけに等しく、そのため、毎日ないし時々に訪れる苦しみに翻弄されている状態にある。
より具体的には、人の時々の思考と感情は、それまでに習慣によって自動的に生じており、その中には、不適切・不合理なものが多々あるにもかかわらず、人は、自分の心を自分自身と錯覚し、いわばその奴隷となっており、心を客観視して、自分の意志で心を制御することが乏しい。ヨーガ・仏教は、様々な修行によって、自分の心を制御し、心の主となること目指す。
2.質疑応答
(1)高齢化社会の中で、高齢期の経済的な不安に関する対処を仏教思想・心理学的な視点から回答
(2)消費税の値上げを前にして、今後の経済の不安(アベノミクス・バブルの崩壊など)への対処を仏教思想・心理学的な視点から回答
第387回『人類の未来を予見する諸思想と心の制御の精髄』(2018年11月4日 大阪 68min) (2018年11月 5日)
1.今後の精神世界・人類の未来を予見する様々な思想(1)30周期説による2020年代の新しい動き
経済の変調と新しい思想の台頭(2)先進国長寿社会:平均余命90歳から100・120歳へ。
老化防止の医療革命が起こる(3)長寿化した人類が悟るとした釈迦の予言が的中する時代へ
老年的超越と呼ばれる新たな社会現象の発見(4)長寿でも精神的には不幸な高齢者
うつ・自殺・認知症・感情の暴走:高齢者は若者より不幸
高齢期に喪失体験が増え、精神的に落ち込み、老化を加速。(5)前向きに生きる心のコントロールが健康長寿の鍵
医療技術に加え、心・感情を制御する力が健康長寿に必要(6)次世代型人類の可能性:人類は時には爆発的に進化してきた
現世人類は都市文明を生み、近代科学思想・産業革命で爆発、(7)占星学が説く人類の未来の予見:水瓶座の時代
長寿で科学的で安定的で平等な新しい時代が到来する(8)ニーチェの超人思想:神は死んだ
キリスト教等への依存から脱し、人類が進化する時代を期待(9)インド思想が説く人類の未来
今現在、人類は精神的に上昇傾向、ハルマゲドンは来ない。(10)宗教の二つの未来観
終末思想:ユダヤ・キリスト・イスラム(ゾロアスター)
循環思想:インド思想・マヤ文明など
2.心のコントロールの精髄(1)心は自分ではないという思想(仏教の無我・非我)。
心を自分と思い込むことは、心を妄信して絶対視すること(2)心はコントロールすべき対象
自分は心の主人たるべき(釈迦の遺訓)。ヨーガとは心の制御(3)心を自分とする問題とは何か
1.自他を区別・比較し、自分が優位だと喜び、逆だと苦しむ。
優位を得られない苦・失う苦・奪い合い憎み合う苦など。2.自分と比較する対象は時々に変化し、自動的に生じて、
自分の意志で選択していない=心の奴隷の状態にある。3.加齢とともに比較の結果は苦しみが増す(高齢期はより不幸)
今まであったものを失う、負ける、ひがむ体験が増大。(4)仏教の悟りの幸福の哲学
心を制御し、自他の比較を超え、全体愛=慈悲で生きる。
比較対象は、自分で選択=宇宙全体、絶えず安定した広い心に。