動画[講義]
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2017年6月

  • 第333回『仏教が説く真の苦と真の幸福、ヨーガの真の意味と姿・仏教との違い』(2017年6月25日東京51min) (2017年6月26日)

    1)仏陀が説く真の苦しみと真の幸福とは

    1.この世・一切は苦、と説く仏陀の思想は、仏教全体の理解の鍵である。
    これを言い変えれば、人は何が苦で何か幸福が分かっていない。

    2.苦の原語の「ドゥッカ」は、普通の意味の苦ではなく、特殊な意味である。
    仏陀は、人は苦を楽を錯覚すると説いた(無常なものを常と錯覚するとも)。

    3.楽は苦に、苦は楽になり、苦も楽も無常で、苦と楽は表裏で、循環している。
    この空しく延々と循環する苦楽の輪が、ブッダの説く「真の苦しみ」の意味

    4.真の楽とは、苦楽の循環から脱却した無執着と慈悲心による幸福である
    真の楽は、心の安定と解放、健康長寿、人間関係の改善、智慧をもたらす。


    2)ヨーガの真の意味と仏教との違い

    1.ヨーガとは、体操ではなく、心の究極のコントロール・心の働きの止滅。

    2.ヨーガは、仏教の「禅定(サマディ)」に相当する。
    禅定・サマディとは、瞑想による心の深い安定と集中状態である。

    3.仏教のヨーガとの違いは、智慧である
    仏教は、サマディによって、物事をありのままに観る智慧を得ること。
    心の安定に加え、智慧の体得=悟りの境地=涅槃である。


    3)ヨーガの歴史:誤解・曲解されがちなヨーガの真の姿

    1.バラモン教・ヴェーダの宗教・ヒンズー教・ヨーガ・仏教の違いは何か?

    ヴェーダの聖典に基づくバラモンの祭祀がヴェーダの宗教・バラモン教で、
    古代のヒンズー教。ヨーガはバラモンの中で広がった行法体系。

    2.原始ヨーガ・古典ヨーガとは

    紀元前10世紀ごろに確立したヨーガの行法体系、その後のサーンキャ哲学、
    サーンキャヨーガ学派の成立、根本経典ヨーガスートラの成立と古典ヨーガとは

    3.古典ヨーガ以降のヨーガ

    ラージャヨーガ、バクティヨーガ、ジュニャーナヨーガ、カルマヨーガ、マントラヨーガとは。今現在世界の広がっているハタヨーガ、そして、ハタヨーガが含むクンダリニーヨーガとは。

     

  • 第332回『苦を楽を錯覚する心理構造とは?ヨーガと仏教の違いとは?』(2017年6月18日福岡 60min) (2017年6月18日)

    1.真の幸福と不幸、真の苦と楽とは何か

      釈迦は、人は、真の幸福・不幸を理解できず、苦しむと説いた。
    正確には、本当は苦であるものを楽と錯覚し、その無智によって、様々なとらわれ・煩悩が生じて苦しんでいると説いた。

      この苦に関する思想は、釈迦の思想の最も深く重要な部分であるが、理解しにくい。

      そこで、上祐代表は、楽の裏に苦があり、苦の裏に楽がある、という苦楽表裏の教えを紹介し、更に「苦楽の輪」という視点でとらえれば、理解できると解説する。

      その上で、真の楽とは何であり、それが、人の智慧・心・体・人間関係にもたらす恩恵も解説している。

    釈迦の思想の中核を理解する上で決定的に重要な講義である。


    2.本当のヨーガの意味と、ヨーガと仏教の違いのエッセンス

      まず、ヨーガとは何かを解説する。ヨーガの原義を紹介し、ヨーガが体操ではなく、心のコントロールを意味することを解説。

      さらに、ヨーガと仏教の違いを解説。仏教とは、ヨーガの目的とする心のコントロール(心の安定と集中=サマディ)にとどまらず、それにより物事をありのままに観て、精神的に目覚めることを目指す。

    これがヨーガに対する仏陀(=目覚めた人)の教えの独自性である。

     

  • 第331回『苦楽の本質は劣等感と優越感:慈悲は苦しみを喜びに変える』(2017年6月11日大阪 66min) (2017年6月12日)

    1)苦しみの原因は無智に基づく間違った執着

    仏教が説く苦しみの原因は、無智によって、間違ったものにとらわれること=煩悩です。
    例えば、苦しみとなるものを喜びばかりだと錯覚し、苦を楽、無常なものを恒常的なもの、本当には、自分・自分の物ではないものを自分・自分の物だと錯覚します(顛倒の教え)。
    特に、私・私の物への過剰なとらわれが苦しみの最大の原因です(自我執着・我執)。


    2)我執の延長上に、優越感へのとらわれ・劣等感への嫌悪

    人間、特に現代人の感じる喜びと苦しみの本質には優越感と劣等感が深く関係しています。

    お金持ちの喜びとは、お金自体よりも、他よりもお金を持つ優越感に本質があります。金持ちか否かは、額で決まらず、友人・知人ないし少し前の自分との比較で決まります。

    お金は実際は紙束、家や車も大自然に比較すれば卑小、ダイヤモンドも炭素の化合物、高級料理も空腹の時の粗食のおいしさには適いませんが、他よりも持っているという優越感が、それらを得ることを喜びだと感じさせています。言い換えれば、ほとんど飢えることはない日本社会で、苦しみの本質は、他と比較による劣等感であり、毎年経済苦で自殺する数千人も、日本で最も貧しい人達ではありません。


    3)苦の解消の道:苦しみ=劣等感が、慈悲=心の宝に昇華される

    苦の原因である自我執着を弱める道は、まず、初期仏教が説いた四念処の瞑想がある。
    自分の心・体・自分の物にとらわれない瞑想です。その土台として、八正道・三学が説く日常行動の規律(戒律)などの実践があります。

    次に、大乗仏教では、大慈悲・四無量心を重視する。これは、他を幸福にする実践に集中することで、結果として自己に対する過剰な執着を解消するものです。この奥儀は、真の幸福は慈悲であると気づいた心には、自分の苦しみは、同じように苦しむ無数の他者の苦しみを理解する縁・絆であり、慈悲の深い広い心を培う力・財産となることです。
    慈悲の智恵により、劣等感の苦しみが、慈悲の源=喜びに昇華されるのです。

     

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