2019年10月
第423回『現代社会の生き地獄と仏教の地獄思想:現代人の孤独と仏教の孤地獄』(2019年10月13日大阪 61min) (2019年10月24日)
仏教が説く地獄の思想は、単なる死後の神話ではなく、人がこの世で経験する激しい苦しみ=「生き地獄」に陥る心理的な原因を解き明かしており、苦の原因と苦の解消の道・真の幸福の道に気づく上で、多くの示唆を与えている。
また、仏教の苦楽表裏の思想と、心理学・社会学の幸福・不幸に関する調査研究の双方が、人の幸福・不幸は、特に現代社会では、お金・名誉といった外的な条件よりも、自分の考え方・物の見方・心の持ち方など、心を制御する力、すなわち内的な条件によることが分かる。そして、この幸福の鍵である、心の制御こそが、ヨーガ・仏教の修行実践の目的である。
さらに、仏教の極楽の思想からは、自分の幸福を他が共に喜ぶか妬むか、自分の苦しみを他が共に悲しむか逆に喜ぶかと言った人間関係にも大きく依存し、人の感じる幸福・不幸は、自分だけで決まるものでもないという重要な真理を学ぶことができる。
第422回『心の制御の鍵=無意識を制御する4つの習慣とは』(2019年9月29日 東京 40min) (2019年10月19日)
思考・感情・意思・欲求といった心の働きは、自覚された意識ではなく、無意識の脳活動によって生じているために、その無意識を制御することが、心を制御し安定させる鍵となる。
無意識は、反復・繰り返され、習慣化・自動化されたという要素があるので、思考やイメージ、②言動・行動、③体の使い方、④環境などに関する習慣の中で、「心を制御し安定させるために役立つ習慣」を見出し、それを深める訓練をすることが基本的な原則となる。
実際に、ヨーガ・仏教が説く禅定(瞑想)とは、特定の形があるものではなく、心の安定のための「修習」と定義できるもので、繰り返し行われるものである。24時間が瞑想と主張されることもあるが、それは1日中、心を安定させる良い習慣を実践すべし、という意味である。そして、悪い習慣を離れる「離欲」と良い習慣の「修習」が修行の2大原則とされる。
体の使い方に関しては、特に、姿勢・座法、②筋肉(の緊緩)、③呼吸、④発声、⑤表情、⑥歩行の仕方などの習慣が重要である。これは、ヨーガや仏教の(身体)行法に反映されている。