2017年9月
第343回『願望成就の心理学と仏教思想』(2017年9月24日大阪 60min) (2017年9月26日)
1.願望成就を助けるポジティブ思考
やるという意思・できるという自信・できたというイメージなど。
自信のプラシボ効果は大きい。2.自信を高めるためには
1.コツコツと成功体験を積み重ねる。
高望みの一発屋だと積み重ねられない。卑屈な人に多い。
2.他人の成功体験を励みにする。
妬みが強いと他人の成功を否定する。
3.自分の長所を見つける
世間主流の画一的な価値観だけに陥ると長所が見つかりにくい。
長所の裏に短所、短所の裏に長所がある。
4.感謝は重要
自分の幸福・恵みを見るのが感謝。自信・自尊心に繋がる
不満は自分の不幸・不足を見ること。卑屈と怒りに繋がる。
3.否定的な感情を悪循環を断つ
1.不安などの否定的な感情ばかりに支配される問題。例えば、不安と後悔
何かをやる前に不安を持ち、嫌なことがあるとずっと引きずる悪循環。
2.悪循環を断つ気分転換が重要
運動、自然に親しむ、音楽を聴くなど。
3.否定的な思考をする癖がついている人
習慣的な否定的な思考に気づいて修正する
=マインドフルネス・認知行動療法:仏教の瞑想に通じる4.とらわれ過ぎない方が逆に願望が可成る
1.とらわれ過ぎると、以下のような問題が起こりやすい。
1.失敗する不安が強くなり、チャレンジしなくなる=引きこもり
失敗して落ち込み過ぎ、心身を病み、努力できなくなる。
2.成功するために不正な手段を取る(うそなど)、ないしは
失敗を不合理に他人のせいにする。2.とらわれ過ぎないことで、
1.心が安定し、物事を正しく判断できる(直感もわきやすい)
2.健康と人間関係を良好に保つことが出来、成功の土台となる5.心が安定していると、願望達成の道を見出すことができる
1.心の不安定は、錯覚を起こす。
1.調子が良く、心が浮つく時
慢心・油断・物事を実際より良く見る=喜びの過大視
2.調子が悪く、心が落ち込む時
不安・恐怖・焦り・物事を実際より悪く見る=苦しみの過大視
2、安定した心は、正しい判断に繋がる
浮つき・落ち込みがない、平静な状態がベスト
=仏教の修行が目指す心の状態第342回『人の中の内なる神と、それを引き出す聖なる象徴・シンボル』(2017年9月10日福岡 80min) (2017年9月10日)
1)内なる神仏の思想
宗教は一般に、人が神仏を信じるとして、人間と神仏を区別し、神仏は絶対的・超越的な存在である場合が多い。この場合、人間と、人間を包む自然・宇宙は、神仏とは別の存在となる(唯一神論)。
しかし、宗教の中には、神仏も、人の心の現れ、人の中にある神性・仏性の現れと考え、万人・万物に神性・仏性を認め、人・自然・宇宙と神仏(の現れ)として一体と見る思想がある(汎神論)。この内なる神の思想は、ユングのような深層心理学の中でも説かれている(いわゆる「自己」の思想)。
2)聖なるシンボル
人の中の内なる神仏は、悟った人・聖人ではなく、普通の人の場合には、普段は隠されているが、それを引き出して活性化させるもの、すなわち神性・仏性を覚醒させる助けとなるものを聖なる象徴・シンボルと呼ぶことがある。仏教徒には、ブッダ、キリスト教徒にはイエス、イスラム教徒にはムハンマドがシンボルの一つだが、諸宗教・諸民族に共通し、人類普遍の聖なるシンボルも存在する。
3)聖なる存在の普遍的な象徴
1.光 太陽と結びつけられることも多い(太陽神)
エジプトの神のアメン・ラー、哲学ではプラトンの善のイデアの象徴
聖書でイエスが「世の光」、父なる神が光源で、光がイエス。
仏教では、光は、仏の智慧や慈悲を象徴。智慧の智は日を含み、
無智は無明と表現。大乗仏教の中心的な仏は大日如来(太陽の仏)
神道の神の総帥も天照大神(太陽神)。日本では朝日をご来光(仏の象徴)
体から発せられる後光は、宗教全体で普遍的なもの。例えば、
ミスラ神(太陽神)、古代ローマ、エジプトの太陽神ラー、
イスラム教のムハンマド、イエスや聖母マリア、仏教の曼荼羅にも。2.輪・円
後光も輪の形が多い。仏教では、聖なる象徴に円形の曼荼羅、
禅の円相、法輪など。道教では宇宙の根源を表す太極図が円形。
古代の宗教的な遺跡にもストーンサークル(環状列石)。
ユングの研究では、人類全体に多く見られる神聖なシンボルは、
円・球・卵で、中心に太陽・星・十字形、光線を放っている。3.ひかりの輪の「天空曼荼羅」
ひかりの輪の発祥において、その創設メンバーが聖地における瞑想とともに
よく体験した太陽の周りの虹の光の輪(気象現象としては日(ひ)暈(がさ)。
ユング自身も、象徴の一例として、太陽の周りの虹の光輪を著書で紹介。
虹の光輪であるブロッケン現象は、日本では御来迎=阿弥陀如来と解釈。4.虹
古来、さまざまな民族の文化や宗教などで、重要な意味を持ってきた。
仏教では、釈迦牟尼、聖者、チベット仏教・ゾクチェンなどと縁がある。
ユダヤ・キリスト教文化では、聖書のノアの洪水の物語で、虹は、
神とノアの契約の印とされ、聖なる象徴である。第341回『苦を和らげ、苦に強くなる仏教・心理学の智恵』(2017年8月27日 東京 68min) (2017年9月 3日)
1)苦の原因は間違ったとらわれという思想
1.仏陀の苦の原因の分析:無知による間違ったとらわれ
とらわれによる4つの苦しみパターン(四苦八苦)とは?
社会学の見解も同じ:不幸の度合い=全ての欲求÷充足された欲求2.過剰なとらわれを和らげる方が、物事は逆に上手くいく
1.とらわれ過ぎると、苦しみで身動き=努力ができなくなり、
2.心が不安定になるため、物事を正しく見ることもできず、
3.ストレスで健康を害し、奪い合いで人間関係を損なう。。
※仏教の止と観の教え:心が静まると、物事が正しく見える
2)とらわれを和らげる感謝の重要性
1.現代社会は、不満・怒り・奪い合いが強い。
感謝は、足るを知り、分かち合い・愛を強める。2.感謝のコツ:比較・偏差値ではなく、絶対値で感謝する。
既に与えられているもの、当たり前と思っていたもの、
他と比較せずに、皆が共有するものなどに感謝する3.感謝は、とらわれによる苦しみを減らす。
不幸ではなく、幸福を見る視点を培う。幸不幸は視点が作る4.視野を広げ、他者への愛と、苦しみへの強さをもたらす。
感謝すべき他者の労苦に気づき、恩返し・愛の心が生じる。
無数の他者の苦しみが視野に入り、大きな心が生じると、
自分の苦は小さく感じ、苦に強くなり、苦に感謝さえ生じる。
3)苦しみを喜びに変える1.仏教の心理学:苦と楽は表裏で、苦楽の輪がある。
視点を変えれば、苦しみは喜びになる。2.苦しみを喜びに変える仏教の菩薩道
1.自分への過剰なとらわれが苦しみの因であり、それがなくなると、
他の幸福が自己の幸福となり、自分の苦の経験は、自分のとらわれ
を弱め、人・他の苦しみを知って慈悲を培う源となる。2.現代は、幸福は優越感と、苦しみは劣等感と深く結びつく。
劣等感の苦しみは、慈悲の心を培う貴重な経験・宝でもある。
4)苦しみからの脱却法の例:心理学と仏教から1.心理学が説く苦しみ・抑鬱を和らげる瞑想法・思考訓練
1.思考感情に没入しない状態を作る(マインドフルネス瞑想)
2.偏った思考に気づいて修正する(認知行動療法)
2.仏教の心理学(三つの根本煩悩)による苦しみの脱却法
落ち着ついて考えれば、気づくことが多い三つのパターン
1.それなしでもよいかも、2.それあってもよいかも
3.なすべきことから逃げていたからかも。【お詫び】 動画画像がお見苦しい点、お詫び申し上げます。