オウムの清算
オウム真理教時代の清算についてのコーナーです

今現在のアレフ(旧オウム)問題

旧統一教会を上回る、アレフ(旧オウム)の 「正体隠し布教」の様々な違法性・悪質性
(2025年3月 1日)

 地下鉄サリン事件から30年の節目にあたる今年・2025年は、過去の一連のオウム事件への関心が一段と高まっています。 

 ひかりの輪は、アレフに被害者賠償を行わせ、詐欺的な布教活動をやめさせ、現在進行形のオウム問題の解決を図るためにも、アレフの疑惑を解明していくことが急務だと考えています。

 先日(2月21日)公開しました「アレフに今も続く違法行為と麻原次男・家族の教団裏支配疑惑」の記事の中で「現在」進行形のオウム問題についてお伝えしましたが、今回は、新たに、旧統一教会を上回るアレフ(旧オウム)の正体隠し教化活動の様々な違法性・悪質性に絞った情報を作成しました。

 関係当局やマスメディアをはじめとする多くの皆様(すでに一部メディアでは報道が始まっています①麻原次男の問題、②正体隠し勧誘やオウム事件を大嘘・陰謀と洗脳された信者の話)が、その疑惑を解明される際の一助となるよう、以下に参考情報を提供させていただきます。

アレフが、正体を隠しながら、「オウム事件はオウム以外の者による陰謀」という陰謀論を説く等の詐欺的な勧誘を行って、若者等を入信させ、脅迫して脱会を妨害し、新たな被害者を「現在も」生み出していること(旧統一教会と同じく、民事上の不法行為にあたる違法な勧誘、詐欺罪・特定商取引法違反の疑い)について、以下に記します。
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旧統一教会を上回る、アレフ(旧オウム)の正体隠し布教の様々な違法性・悪質性


目 次 


■第1,「オウム事件は陰謀」という虚偽の主張(賠償をしない教団を正当化

(※この「第1」は、先日公開の「アレフに今も続く違法行為と麻原次男・家族の教団裏支配疑惑」の記事内から抜粋)

1,正体隠し&陰謀論による洗脳的な教化・布教活動

①これは民法上の不法行為であり、法人の過剰寄付勧誘を規制する新法の行政処 分の対象である
②アレフとの正体を隠した覆面ヨーガ教室のための不動産物件の賃貸契約は、物件詐欺罪として繰り返し摘発されてきた。
③特定商取引法違反にあたる(事業者名の告知義務違反)
④行政・警察の不作為:詐欺罪での立件がなされていない(物件詐欺ではなく金銭の詐欺の問題)
【参考資料】2009年以降、アレフが「正体隠し布教」や「陰謀論」による勧誘を行っていたことを示す、公安調査庁の資料
【参考資料】アレフが「正体隠し布教」や「陰謀論」による勧誘を行っていたことを示すアレフ脱会者の証言資料

2,アレフ幹部、松本明香里らは、確信犯的にアレフ信者を騙している事実がある


■第2,正体隠し勧誘に、麻原や次男(30)へのチベットの高僧等の虚偽の関係を利用

1.正体隠し勧誘に「虚偽の」チベットの高僧等の関係が利用された実例
 ◎「実はアレフ」と正体を明かされた日、チベットの高僧と麻原次男の話をされた

2 アレフが利用する「チベット等の高僧と麻原の関係」の虚偽と実態
(1)麻原がチベット等の高僧と会った目的
   :権威付けのための宣伝目的という計画だった
(2)賞賛の言葉の裏にあった背景事情①:1億円規模の多額の献金への返礼
(3)チベット亡命政府が麻原をダライ・ラマに会わせた理由
   :麻原の傲慢さを察知・それを抑えるため
(4)賞賛の言葉の裏にあった背景事情②:チベット語の意味を勘違い
(5)賞賛の言葉の裏にあった背景事情③:宗教法人認証手続きのために要請
(6)1989年11月坂本弁護士一家殺害事件後の、麻原とペマ氏との討論
(7)カル・リンポチェ:背景に多額のオウムからの献金と麻原を諭していた事実
(8)パイロット・ババ:麻原のヨーガ修行の過ちと高額の布施集めを批判
(9)麻原の家族、特に妻の松本明香里は確信犯的行動に他ならない

3,アレフが今も麻原次男(30)をパンチェン・ラマの転生仏と主張する冒涜

(1)正体隠し勧誘の中で語られた「次男は、パンチェン・ラマの生まれ変わり」
   ◎アレフに「次男は、パンチェン・ラマの生まれ変わり」と言われた
(2)アレフは、ダライ・ラマが既に否定した事実を把握しながら、
   虚偽の内容を利用し続けている
 ◎麻原がカムトゥルリンポチェの見た夢を利用し主張
 ◎ダライ・ラマは、手紙でパンチェン・ラマ生まれ変わり説を明確に否定
 ◎ダライ・ラマ法王日本代表部事務所は冒涜と怒り
 ◎麻原の家族、麻原の妻の松本明香理の確信犯的・詐欺的な手法

第3,アレフが、事件を知らない若者に間違った違法な思想の解釈を植え付けるしくみ
──「輪廻転生」と「グルの必要性」などを間違って説く

(1)麻原や麻原次男は、伝統の「正しいグルの基準」の条件を満たしていない
(2)グルを絶対化する過ち
(3)旧統一教会の「正体隠しの違法な伝道教化活動」の問題が、アレフにも当てはまる
(4)旧統一教会の「恐怖を与える教化活動」の問題も、アレフにも当てはまる
 ◎「地獄に落ちる」という脅し:アレフ脱会支援の実例から
 ◎「麻原に救済されなければ、三悪趣に落ちてしまう。だから辞められない」
(5)現実に反する空想や誇大妄想を抱かせ、誇大宣伝と虚偽を信じさせる詐欺的主張
(6)アレフの正体隠し勧誘は、重大な嘘や盗みの「悪行」であり、
   多数の犯罪(詐欺罪、特定商取引法違反、民事上の不法行為、強制執行妨害罪)
(7)自由で正しい意思形成・判断を妨げ、繰り返し刷り込むアレフの正体隠し勧誘
 ◎麻原と教団を正当化する事件の解釈をアレフで聞いた

第4,現在のアレフの違法行為への、行政の対応の不足や遅れの解消を望む

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本文


第1,「オウム事件は陰謀」という虚偽の主張(賠償をしない教団を正当化)

(1)正体隠し&陰謀論による洗脳的な教化・布教活動と、脅迫による脱会の妨害

 アレフは、アレフであるという正体を隠した覆面ヨーガ教室などに人々を勧誘し、「オウム事件はオウム以外の者が起こした陰謀」との主張を含めた詐欺的な教化活動を行なうとともに、脱会を申し出る信者に対しては脅迫し、その脱会を妨害してきました。

①これは民法上の不法行為であり、法人の過剰寄付勧誘を規制する新法の行政処分の対象である

1.正体隠しの布教は、違法行為です。これは、旧統一教会に対する元信者被害者の民事裁判多数で認定されています。一生の問題となる重大な意思決定である、宗教を信じるか否かの選択において、正体隠し布教は、本人の自由な意思決定を歪めて、信じる自由だけではなく、信じない自由や、自由に宗教を選択する自由を含んだものが「信教の自由」ですが、正体隠し布教は、その自由を侵害する不法行為です。

2.しかも、アレフが、「オウム事件は教団は関与しておらず陰謀である」と主張することは、人の判断を誤導する重大な虚偽の主張として、民法上の不法行為を形成します(旧統一教会裁判の第一人者とされる郷路征記弁護士の見解

 これらが民法上の不法行為であることは、旧統一教会の民事裁判多数で認定されており、2022年以来の統一教会批判報道でよく知られた事実となり、2022年に統一教会の過剰寄付勧誘を規制する目的の新法でも、正体隠しの布教の禁止は明文化され、行政処分の対象となりました(今のところ刑事犯罪ではありません)。

 ところがアレフの正体隠し布教に関して、①公安調査庁は、正体隠し布教で入信させ寄付を集めた多額の資産を隠すアレフに対して、2023年3月から寄付受領の禁止・施設使用の禁止の再発防止処分は行ったものの、入会勧誘の禁止処分はまだなしておらず、言わば放置しています。②また、アレフの正体隠し布教の問題を指摘する報道も、旧統一教会に比較して著しく乏しく、そのため、アレフの正体隠し布教の被害者が、自分の被害に気づきにくくなっています。

②アレフとの正体を隠した覆面ヨーガ教室のための不動産物件の賃貸契約は、物件詐欺罪として繰り返し摘発されてきた。

 アレフであるという正体を隠して行う覆面ヨーガ教室は、実際はアレフへの入会であるのに、アレフではないヨーガ教室への入会だと偽る場合があることや、教室のための不動産物件を賃借する際に、真実の賃借人名であるアレフを隠して大家と契約するために、詐欺犯罪となります。以下はその事例です。

・2021年5月:詐欺容疑でアレフ信者逮捕 目的隠し拠点賃借か、横浜(参考:産経新聞記事 神奈川新聞記事
・2024年1月22日:アレフ信者を住まわせる目的を隠してマンション借りた疑い、信者2人逮捕...愛知県警(参考:読売新聞記事

③特定商取引法違反にあたる(事業者名の告知義務違反)

 アレフが、上記の②の物件詐欺となることを回避し、覆面ヨーガ教室を行う場合、その受講者との契約において、特定商取引法が義務付けている、正体を隠さずに事業者名や勧誘目的を明示した上で勧誘・契約する義務を怠っていることになります。具体的な摘発事例は以下の通りです(報道で確認できる範囲なので、これだけというわけではありません)

・2017年11月13日:仏教の勉強会を装った(アレフのための)勧誘活動に関連して、特定商取引法違反(書面不交付)の容疑で、アレフの札幌や福岡の教団施設など5カ所を北海道警が家宅捜索、2018年1月19日に同容疑で信者1人が書類送検された(※日経新聞記事)。
・2021年5月:ヨガ教室と偽り「アレフ」入信勧誘 特定商取引法違反疑い、信者の女逮捕(※京都新聞記事)
・2022年12月5日:「地下鉄サリン事件は陰謀」アレフ信者の学校職員、勧誘目的隠して契約疑い逮捕(※参考記事

④行政・警察の不作為:詐欺罪での立件がなされていない(物件詐欺ではなく金銭の詐欺の問題)

 この点は、統一教会問題でも紀藤正樹弁護士が主張してきましたが、霊感商法や正体隠し布教の中で、実質的に人を騙して多額の支払い・献金をさせているにもかかわらず、警察当局は、詐欺罪としての立件を行わず、比較的軽微な罪である特定商取引法違反による摘発にとどめてきました(旧統一教会もアレフの場合も)。しかしながら、本質的には、オウム事件が陰謀であるなどと信じ込ませて入信させて寄付を集める行為は、それが繰り返されないためにも、詐欺罪の重罪として厳しく摘発されるべきであると考えます。

⑤脱会の妨害は、団体規制法の入会勧誘禁止処分の理由となる

 アレフでは、脱会を申し出た信者に対して、「脱会したら地獄に落ちる」と述べて脅迫し、その脱会を妨害することも行ってきました。たとえば、以下のような具体例があります。

◎「脱会を申し出ると、そのままだったら地獄に落ちると言われた」(Gさん:女性:2021年9月に脱会支援)

 ひかりの輪の脱会支援窓口に相談した後、「辞める」と決め、勇気を出して、アレフに脱会の電話をしました。すると、
「蓮華座痛いでしょ?そのままだったら地獄に落ちるんですよ」
と言われ、その後、不安に悩まされました。(※蓮華座:オウムでよく行う厳しいヨガの座法)

◎「地獄の模様を描いた映画を見せられ脅された」(Hさん:20代男性:2010年7月に脱会支援)

 「オウム事件は陰謀によって起こされてオウムは陥れられた」という話や、「オウム事件は、麻原尊師が起こしたものだが、深い宗教的意味があった」という話を聞かされた私は、アレフに疑問を感じるようになり、2009年10月頃、アレフ東京道場の幹部に、アレフを辞めたいと申し出ました。
 すると、それから1週間ほど経ったある日の夜9時頃、私の自宅アパートに、アレフ幹部や信者が3人でやってきて、表に駐めてあった車に私を連れ込みました。そして、車の中に設置してあったビデオデッキを使って、ある映画を見せられたのです。
 それは、悪いことをした人たちが地獄に堕ちて、針の山を登らされたり、鬼から虐待されたりして、血まみれになって苦しんでいる場面が延々と続く映画でした。
 彼らは、このような地獄の残虐な模様が描かれている映画を私に見せながら「もしHくんがアレフを辞めたら、グル(麻原)との縁が切れて、このような地獄に堕ちるんですよ」というような話を私にしました。私は、夜中にこんな脅しのような引き留めを受けて、どうしていいものか悩んでしまいました。

 以上の例の通り、これは明らかに脅迫をともなう脱会の妨害であり、団体規制法が定める再発防止処分(一部活動の禁止処分)の要件となる不当な行為です。

 団体規制法の8条1項5号には、
「当該団体の役職員又は構成員が、団体の活動として、当該団体に加入することを強要し若しくは強要しようとしているとき又は当該団体からの脱退を妨害し若しくは妨害しようとしているとき。」
 に、再発防止処分を行うことができると定めています。

 そして、どのような再発防止処分が可能かというと、同法の解説書(『オウム真理教の実態と「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」の解説』立花書房)によれば、
「団体の勢力維持等のために団体から脱退しようとしている構成員を脅迫して脱退を妨害しているような場合又は団体への加入勧誘に際して団体へ加入しなければ災いが降りかかるかのような人心を不安に陥らせる内容を説いて加入を強要しているときなどには、第四号の加入勧誘、脱退妨害の禁止の処分を行うことが可能であると考えられる」
と示されています(同書p93-94)。

 というのも、団体規制法8条2項4号は、
「当該団体に加入することを強要し、若しくは勧誘し、又は当該団体からの脱退を妨害することを禁止すること。」
を再発防止処分として科すことができると規定していますので、もし一度入会すれば脱退したくても脅迫されて妨害されるような危険な団体であれば、脱退の妨害禁止処分だけではなく、その入会(加入)の勧誘禁止処分も、当然に行えるものと考えられます。

⑥陰謀論や事件の正当化による教化活動も、入会勧誘禁止処分の理由となる

 なお脱会妨害だけでなく、「オウム事件に教団は関与しておらず陰謀である」と述べたり、「事件は正しかった」と正当化したりする教化活動(上記Hさんのケース等)も、同じく団体規制法による入会(加入)の勧誘禁止処分の理由となりえます。

 前記の団体規制法の解説書によれば、
「団体が、過去の無差別大量殺人行為への関与を認めることなく、再発防止に向けた現実的対処も行っていない場合など」
に再発防止処分を行えるとされています(同書p96)。

 さらに、
「団体が殺人を明示的に勧める綱領に従って構成員に対する指導を行っている場合には、構成員の増加あるいは充実を図る活動である当該団体への勧誘等を禁止する処分・・・(中略)・・・を行うことが可能であると考えられる」
とも明記されています(p94)。

 これらのことから、「オウム事件は陰謀」と述べたり、「オウム事件は正しかった」と述べたり(以上の2点とも公安調査庁は自らの調査で把握済み)、脅迫をともなう脱会妨害をしたり(この点はひかりの輪から公安調査庁に書類を提出して同庁も把握済み)するような行為は、いずれも、入会勧誘禁止処分の理由となるものなのです(にもかかわらず、いまだに公安調査庁がアレフへの入会勧誘禁止処分を行わないのは全く不可解なことであり、このことはまた後述します)。


参考資料:2009年以降、アレフが「正体隠し布教」や「陰謀論」による勧誘を行っていたことを示す、公安調査庁の資料

◎公安調査庁の2010年(平成22年)版『内外情勢の回顧と展望』のp42より

 大学生を対象とした勧誘活動でも,在家信徒が出身大学の構内に教団名を秘匿したヨーガサークルの勧誘ビラを無断で掲示し,新入生の取込みを図るなど,巧妙かつ活発な取組を展開した。

◎公安調査庁の2011年(平成23年)版『内外情勢の回顧と展望』のp42より

 同派(アレフ)では、教団名を秘匿、インターネットを利用して一般人と交流したり、街頭で占いを行うなどの勧誘活動を積極的に展開した。

◎公安調査庁の2012年(平成24年)版『内外情勢の回顧と展望』のp44より

 特に,大学が新入生を迎える4月には,近畿地方の大学などにおいて,①学生を装った出家信徒が大学構内に無断で入り込み,「勉強以外にも楽しいことがある」などと声を掛けながら,教団名を秘匿したサークル名の勧誘ビラを配布したり,(中略)このほか,主流派では,これまで同様,街頭や書店での声掛けに加え,インターネット上で提供される交流の場であるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて,宗教,ヨーガ,占い,精神世界に興味を持つ者と接触を図り,主流派が教団名を秘匿して運営するヨーガ教室に誘い出すなどの勧誘手法も用いた。

◎公安調査庁の2013年(平成25年)版『内外情勢の回顧と展望』のp49より

教団名を秘匿した勧誘活動を展開し,悪質な手口による逮捕事案も

(前略)大学が新入生を迎える4月や大学祭が行われる5月及び11月には,関東地方や近畿地方の大学などにおいて,当該大学に学籍のない在家信徒が,大学構内の掲示板に大学非公認のサークルの案内を掲出したり,こうした案内を示しながら学生らに声掛けしたりするなどの活動を行った。いずれのサークルも,教団名を秘匿するのみならず,その名称や活動内容から宗教色を排するなど,より巧妙な勧誘手法を用いている実態も確認された。

 このほか,勧誘手法としては,これまで同様,繁華街の路上,書店やイベント会場などでの声掛けに加え,インターネット利用率の高い青年層を主な対象に,インターネット上で提供されるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて,宗教,ヨーガ,占い,精神世界に興味を持つ者と接触を図り,教団名を秘匿して運営するヨーガ教室や信徒の集まりに誘い出す手口なども散見された。特に,ヨーガ教室などでは,勧誘対象者に対して,麻原の名前を出さずに,その説法内容や教義を説いたり,「9.11米国同時多発テロ事件は米国による陰謀である」などとする映像資料を長時間にわたり視聴させた上,「地下鉄サリン事件は国家によるでっち上げと説明するなどして,「Aleph」への入会を促す勧誘活動を展開した。

 なお,SNSを利用した勧誘活動では,京都施設に出入りする在家信徒3人が,SNSで知り合った男性に対して,ヨーガ教室への入会と偽り,「Aleph」に入会させ,入会金及び月会費を詐取したとして,詐欺容疑で滋賀県警察により逮捕され(5月),このうちの2人が起訴された(6月)。

◎公安調査庁の2014年〈平成26年〉版『内外情勢の回顧と展望』のp49より

 以下、アレフが、「世界を支配する勢力がオウム真理教をはめた」「地下鉄サリン事件は教団が起こしたものではない」という陰謀論を用いて布教している実態が報告されています。

naigai2014.jpg さらに、「正体隠し布教」や「陰謀論」による勧誘は、その後も現在に至るまで続いており、それは以下の通り、公安調査庁作成の2024年〈令和6年〉版『内外情勢の回顧と展望』のp71でも指摘されています。

naigai2024-3.jpg
●参考資料:アレフが「正体隠し布教」や「陰謀論」による勧誘を行っていたことを示すアレフ脱会者の証言資料

 
ひかりの輪では、アレフの詐欺的教化活動の被害者の信者の脱会支援や、その家族の相談に乗る活動を長年行い、200件以上の支援をしてきましたが、その際に被害者である信者に被害実態を書いていただいた陳述書の一部を以下にご紹介します(陳述書は公安審査委員会や裁判所に提出したもの)。

◎Aさん:2012年1月に脱会支援

1.アレフに入信した経緯

 2011年〇月に某SNSサイトにて信者の一人から覆面ヨガ教室への誘いを受けたことが始まりです。最初は教室でヨガをしておりましたが、輪廻転生や超能力といった精神世界の話を持ちかけられて興味を持ち、2回目以降は勉強会というかたちで通うようになりました。勉強会をしていく中でフリーメーソンの存在や社会を支配しているのはユダヤ人といった陰謀論のビデオ等を見せられ、世の中の常識を全て疑うような教えを受けました。アレフと明かされた時には本当に驚きましたが、教えの中で人間のほとんどは死後に地獄や餓鬼といった苦しみの世界に生まれ変わること、高い世界へ転生するためにはアレフで修行をするしかないことを説かれ、興味もあって同年〇月にアレフへ入会しました。

2.アレフの教義

 アレフに入信していた時に教わった教義として以下のものが上げられます。①地下鉄サリン事件はフリーメーソンがオウムをおとしめるための謀略であり、アレフは真理の団体である。(後略)

◎Bさん:2013年末~24年初頭に脱会支援

 私は2011年春に、ジュンク堂〇〇書店にて、本を閲覧中に、2人の女性に声をかけられ親しくなりました。(中略)お勉強会やヨガのレッスンがあるとのお誘いを受け、懇意になりました。毎回1レッスン2000円で、勉強会中に、グルと呼ばれる指導者がおり、その人には大変な功徳がなければ会うことはできない、などと言われましたが、名前や正体については話されませんでした。(中略)〇月〇日ですが、レッスンの際に「世の中は情報操作されている。世の中の報道と事実は必ずしも正しくない」と、その頃のレッスン内容はヨガや呼吸法とかなりはなれていて、忙しい中〇〇から〇〇へ通っているのに、ヨガレッスンのはずが、9.11テロの報道が自作自演的であるというようなテーマのビデオだったりとか、リーメーソンの話とか麻原彰晃出演の朝まで生ダラ等、古い昔のビデオをせわしなく鑑賞させられ、とうとう「というわけで、私たちのグルは麻原彰晃さんなのでした」と、いわゆる「明かされ」ました。

◎Cさん:2010年8月に脱会支援

 また、Aleph〇〇道場の幹部は、集会の場で、「教団はオウム事件には一切関係していない」と話していました。その一方で、別の幹部は「あの事件は麻原尊師が起こしたもので深い宗教的な意味が込められている」という話もしていました。どちらの話も私にはとうてい受け入れられないものでしたから、Alephを辞めようという気持ちが高まっていきました。そこで、2009年10月頃、私はAleph〇〇道場の幹部に、Alephを辞めたいと申し出ました。

◎Dさん:2017年12月7日に陳述書作成

 私は、過去アレフ(旧オウム真理教)の覆面ヨガ教室に引っ掛かったことがあります。そして覆面ヨガ教室に通った結果、実際に入信までしてしまい、数ヶ月間はアレフに在籍しておりました。今は、脱会して何の関わりもありません。(中略)
 アレフ関係者の人達と話をすると
「サリン事件は陰謀」「イルミナティや公安による捏造」などと言われます。その主張が「おかしいな」と思いつつも、アレフ関係者が周りにいる環境では、正常な判断ができないものです。「もしかしたら、そうなのかも」という考えが頭の片隅に出てきてしまうため、洗脳状態から抜けて脱会に至るのには、とても大変な思いをしました。私は、入信したといってもドップリと洗脳される前だったため「アレフ側の主張はやっぱりおかしい!真実を調べないと!」と思い立ち、客観的な情報収集をすることができたのだと思います。インターネットで多角的に情報収集を行い、なんとか洗脳状態から抜けて脱することができました。私が洗脳状態を抜ける際に、参考にさせて頂いたのが「ひかりの輪」の上祐氏のブログ記事です。

◎Eさん:2015年3月に脱会支援

 私は、2011年8月にSNSでたまたま〇〇の方と知り合って、『ヨガ』の話をしたことがきっかけで、私が本格的なヨガをやりたい希望もあり、その方の先生とカフェで会うことになりました。
 その先生が数十回のヨガ理論の講義をしてくれるということで、その先生の講座を受けることにしました。 その講座の中では、たまに『オウム』や『アレフ』という言葉が出てきました。
 
その先生の講義は、合計約40回位受けました。講義を受けた場所は〇〇県の私の自宅です。
 
たまにその先生は講義の中で、巷の陰謀論などをたくさん事例を挙げながら話すことがあり、私はその先生の言葉をだんだん信じるようになっていきました。
 
40回くらいの講義を受け終わった頃に、その先生は『実は、私はアレフなんです』と話してきました。 私はかなり驚きましたが、何十回も講義を受けていたので、その先生に対して、心を許していることもあり、『辞めたいときはいつでも辞められるから』とアレフへの入会を勧められ、入会手続きをしてしまいました。

◎Fさん:2016年に脱会支援

 2015年5月の終わり頃だったと思います。 
 私は、〇〇バスターミナル〇階にある紀伊国屋書店で、精神世界に興味があったので、その本のコーナーの所で本を探していました。
 
その日はたまたま紀伊国屋書店に行ったのでした。
 
そうしたら今のアレフのスタッフである〇〇さんが、私に、「何かお薦めの本はありますか?」と声をかけてきました。
 
私は、「私が教えてほしいくらいです。」と答えました。
 
そうしたら、彼女が、ヨガをやっていることなどを話し始めてきて、「よかったら今度喫茶店でお話するか、ヨガの勉強会をやっているので来てみませんか?」と誘われ、連絡先を交換しあいました。
 
後日〇〇さんとマンツーマンで数時間話をしました。
 
アレフ入会のプロセスはそこから始まりました。
 
それからは彼女が私にアプローチするままに誘われては、喫茶店で会い、話すようになりました。
 
そして、4回目くらいだったと思いますが、〇〇さんよりステージが上だといわれている〇〇という男性(当時のアレフの〇〇道場長)が来るようになり、3人で勉強会をやりました。
 
そこでの勉強会の内容は、もっぱらアレフの中で教えている世界観や陰謀論等々を教わりました。私は3日おきくらいに彼らと会って話を聞いていました。
 
最初に会ってから、2ヶ月ちょっとくらい経ってから(回数としては17~18回目位)のころですが、「実は、僕たちはアレフなんだよ」と打ち明けられました。(後略)

※上記は一部の陳述書をご紹介しただけですが、他にも、多数の陳述書や、ひかりの輪が脱会支援を行った際に相談者とやりとりしたメール等の証拠があります。

 また、以下のページにも多数の事例を掲載していますので、あわせてご覧下さい。

・アレフが覆面布教をしている事実(体験談含む)について→(その1 その2

・アレフが陰謀論を説いている事実(体験談含む)について→(その1 その2


■注意点① 違法な布教・教化活動の実行には麻原家族の関与が必要である

 事件を陰謀だと主張して入信させて寄付を集めることは、重大な嘘で、詐欺的な行為です。その実行のためには、アレフと言わずにヨーガ教室の不動産物件を借りる物件詐欺や、アレフと告知せずに勧誘する特定商取引法違反を(統一教会の霊感商法などと同じように)犯す必要があります(実際に多くの信者がその罪で逮捕されています)。

 そのため、これを信者が実行するためには、麻原または麻原家族の関与が必要です。特に麻原家族の一員である三女が、2014年前後に、こうしたアレフの活動に対する社会の批判の高まりとともに、それに反対するように転じたとすれば、それを無視して継続するためには、反対する家族以上か、少なくともそれと同等の権威をもつ者、すなわち次男(および麻原の妻)の関与が強く推認されます。逆に言えば、社会が強く批判する中で、家族が教団にやめるように指示すれば、即座にやめなければならない立場にあるのが教団です。

■注意点② アレフ教団の団体規制法上の構成員の報告義務違反と、それに対する行政側の不作為

 団体規制法上は、この時点ですでに、教団は、麻原の妻・次男を、その構成員・役職員として報告しなければなりませんでしたが、それを怠っていました(団体規制法違反)。また公安調査庁も、これだけの証拠を得ながらも、麻原の妻や次男を構成員として報告するように教団に十分な指導をしたかは不明です。結果として、両名らに対する立入検査は行われておらず、報告義務違反に対してなすべき再発防止処分の請求は、2023年まで遅れることとなりました。しかも、この2023年の再発防止処分の請求の理由にも、一部の構成員の不報告が指摘されているものの、麻原の妻や次男の構成員不報告については述べられていません。

(2)アレフ幹部、松本明香里らは、確信犯的にアレフ信者を騙している事実がある

 「オウム事件は教団は関与していない陰謀だ」という嘘をつくことに関して、末端信者は、もしかすると、場合によっては、本当に幹部に吹き込まれた通り、事件は麻原は関与していない、と思い込んでいる(自分の信仰を守るために思うことにしているの)人もいるかもしれません。

 しかし、教団を長らく裏支配して来たことが裁判資料などでも明らかである麻原の妻・松本明香里は、自分自身が内部信者の殺人事件に関与しており、逮捕・裁判で有罪が確定している人物です。裁判では、自分に関しては無罪を主張し、殺人の現場にいたことは認めているし、自分の減刑のために、自分個人の同事件の損害賠償は、個人資産を売却して支払ったとの報道もありました。
 しかし、自分たち家族が裏支配するアレフ教団は、その松本明香里自身の事件を含めて、全て陰謀だと主張しており、教団部分の損害賠償を履行していません。

 教団内に在籍し、その中で最高幹部の位置にある二宮耕一は、殺人・殺人未遂の事件には関与していませんが、立件はされなかった教団武装化の一環である、ボツリヌス菌の製造事件には一時的に関与しており(その後、そうしたことに向かないので麻原の指示で外れることになった)、また、1999年末から2000年の時点では、麻原家族の一部(長女)が、社会の激しい批判の中で、賠償を行うことをなかなか認めないことなどに不満を抱くとともに、上祐に対しては、一連の事件を起こした麻原を、「気違いじゃないか」と批判したこともあることから、十分に麻原・教団の事件関与を認識しています

 こうして教団のトップは、一連の事件に対する教団の関与・武装化を、自ら関与・体験・認識しているのであり、新たに勧誘されている人たちを騙しているに他なりません。

第2,正体隠し勧誘に、麻原や次男(30)へのチベットの高僧等の虚偽の関係を利用

1.正体隠し勧誘に「虚偽の」チベットの高僧等の関係が利用された実例

 アレフが、アレフであるという正体を隠した覆面ヨーガ教室などに人々を勧誘し、「オウム事件はオウム以外の者が起こした陰謀」との主張を含めた詐欺的な教化活動を行なってきたことは、上記1.の通りです。
 
 アレフが、その正体隠し勧誘の勧誘活動の中で、麻原や、麻原の次男(30)を神格化するために、インド・チベットの僧侶達が、麻原や次男を純粋に評価しているかのように思わせ、利用し続けていることが判明しました。
 ひかりの輪が行ったアレフ脱会支援活動中で、勧誘を受けた被害者の女性(20代)からの証言は、以下のものでした。

◎「実はアレフ」と正体を明かされた日、チベットの高僧と麻原次男の話をされた
(Gさん:2021年9月に脱会支援:札幌)

「2021年7月に、悩みを相談していた知人から、カウンセラーに相談してみないかと誘われ、カウンセラーと称する女性(Hさん)と、札幌市白石区のマクドナルドで会ったところ、インド哲学・心理学・ヨーガの講座を勧められ、2021年7/3~7/30までの計14回、1回につき3時間ほどの講座を受けました。

 その講座は、毎回、カウンセラーのHさんや、もう一人の女性が、いつも同席していましたが、後にアレフ信者と知り、アレフを隠していたと知ります。その講座は、「1ヨーガ実践2ヨーガ理論3輪廻転生理論4陰謀論(オウムではない陰謀論)5テスト」でした。独自教材以外に、自主学習として「チベット死者の書(DVD)」、「ベンジャミン・フルフォードの陰謀論に関わる著書」2冊、ミラレパの漫画などを見せられました。

 陰謀論の講座は、オウムと関係のない世の中の陰謀論の話でした。陰謀論講座を一通り終えた講座10回目終了のあたりで、「第二段階、高度な段階に進める」と言われびっくりドンキーに呼ばれました。

 びっくりドンキーでの説明後の講座で、アレフであることを明かされ、まず、ダライ・ラマや、海外の聖者たちと、麻原が対談している動画を見せられ、麻原がダライラマをはじめとする聖者とつながりがあり、認められているという話がありました。(後にに全て撮影動画をそのまま使っているのに、聖者の通訳の声だけは後付けの音声で差し替えているのが怪しいと感じました)

 次に、麻原の次男の写真(紫の服を来た子供の写真)を見せられ、「次男は今は事情があって離れているがもうすぐ戻ってくる」「教祖の麻原さんはいず、どこを信じていいか迷うかもしれないけど、麻原の次男という崇高な魂がこの世にいる。麻原の次男は、チベットの高僧・パンチェン・ラマの生まれ変わり。麻原に代わる崇高な魂が、この世にあるということを信じて。修行を積んでいればいつか会えるから」と言われました。

 また、麻原は、報道では、仏教の不邪淫の戒律を破っていると批判されているが、麻原の行為は、戒律に反さず、自分の練り上げた魂を受け継ぐ「子孫」を残す、魂を残すという意図で、次男を生まれさせたのだ、と言われました。
 その講座で入会の意向を問われ、その時は、信仰よりかは、仏教の本を読むなどの勉強がしたかったので入信してしまいました。
 なお、「ひかりの輪のサイトは絶対に見てはいけない」と血相を変えて話していました。」

2 アレフが利用する「チベット等の高僧と麻原の関係」の虚偽と実態

 アレフが利用している、チベット等の高僧と麻原や次男との関係や賞賛の言葉は、いろいろな意味で虚偽であるだけではなく、一連のオウム真理教事件において多大なご迷惑をかけたチベット亡命政府を冒涜する行為でさえあります。

 その理由と真実は、以下の通りです。

(1)麻原がチベット等の高僧と会った目的:権威付けのための宣伝目的という計画だった 

 まず、そもそも、麻原が、チベット等の高僧と会ったのは、権威付けのための宣伝目的であったことがわかっています。
 当時麻原の話を聞いた上祐の証言によると、麻原は、教団創設の1987年頃から「布教のやり方として、(インド・チベットの)聖者と会って、それを宣伝していく」という考えを上祐らに話し、宣伝のための権威付けとして、賞賛の言葉を得ようと、計画的に、チベット等の高僧に近づいたのです。

 「また、私を含めた教団側の宣伝が、一般信者の誤解を招いたことを反省しなければならない。麻原は、1987年には、宣伝のために、意図して高僧と面会し、その権威付けを得る方針を私達に示していた。しかし、教団は、称賛の言葉だけを信者に宣伝し、事前に、多額の寄付がなされている事実などは伝えていない。」(上祐史浩個人の総括より)

 この「事前に多額の寄付がなされている事実」は、以下の通りです。

(2)賞賛の言葉の裏にあった背景事情①:1億円規模の多額の献金への返礼

 アレフに利用されているチベット等の高僧の麻原への賞賛の言葉に関しては、実際に彼らが語ったものの一部を抜粋したものでしたが、その様々な背景事情が伏せられていることにより、真意が見えない言葉となり、虚偽ともいえる内容に変わってしまっています。
 当然、その背景事情とその言葉はセットであり、セットでとらえてはじめて、真意が見えてきます。

 まず、大きな背景事情として挙げられるのは、当時、オウム教団がチベット亡命政府になした一億円規模の多額の献金です。つまり、国を失い多くの難民をかかえ経済的に困窮するチベット亡命政府は、金銭を強く必要とする状況にあるため、当然、多額の献金者を評価します。

 つまり、麻原に対しても、多額の献金者への外交辞令的・政治的なリップサービスの一面があったのです。

 当時オウム教団で経理だった中村昇(無期懲役囚)によれば、ダライラマ側には行く前に10万ドル、行った後も10万ドル、その後何回も寄付したといいます。(中谷友香『幻想の√5』KKベストセラーズ 2019)

 また、当時オウム教団で通訳をしていた上祐によれば、ダライ・ラマには100万〜150万ドル以上の寄付をしており、オウム教団はこうした寄付について一般の信者には隠していたため、信者たちは、純粋に賞賛の言葉を得たと、妄信することにつながりました。

「例えば、ダライ・ラマ法王には、少なくとも100万ドル以上の寄付をした(150万ドル以上の寄付をしたかもしれない)。彼らは、多数のチベットからの難民を抱えており、教団の支援を評価していた。」上祐史浩個人の総括より)

 ジャーナリストの江川紹子氏も「多額の寄付をしてもらえば、普通お礼はするし、多少のリップサービスをすることもある」とし、麻原はそれを利用し、オウムの権威や信用を高めようとしたと指摘しています。(『「オウム真理教」追跡2200日』「ダライ・ラマ側近の証言」)

 また、1989年1月のダライ・ラマから麻原への手紙に、多額の寄付への返礼が記載されているものが公表されています。

「1989年1月21日付の手紙と、十万ドルのお布施をいただきありがとうございました。お布施は、チベット難民とチベットの人々への宗教活動に使わせていただきます。」(1989年1月28日 ダライ・ラマから麻原にあてた書簡:『宝島30 麻原彰晃-ダライ・ラマ往復書簡』1996年)

 また、1989年5月のダライ・ラマからの親書にも、多額の寄付への返礼が記載されています。
「オウムはまた、亡命中のわたしたち仏教徒に対して、つねに多額の布施をしてくださっています。これらの布施は、最近、チベットから亡命してきた学僧の救済に使わせていただきました。このオウムの援助に対して、心から感謝します」(東京都による宗教法人認証手続の際に作成した親書の内容 1989年5月26日)

 つまり、麻原は純粋にチベットの高僧から賞賛の言葉を得たのではなく、自らの権威付けのための宣伝目的で、多額の寄付をしてチベットの高僧に接触した事実がありました。

(3)チベット亡命政府が麻原をダライ・ラマに会わせた理由:麻原の傲慢さを察知・それを抑えるため

 1988年頃、麻原は、チベット亡命政府の日本代表であったペマ・ギャルポ氏に接触し、自分の瞑想体験の成果をチベット仏教の先生に見てもらいたい、といい、ペマ・ギャルポ氏は、麻原をダラムサラのチベット亡命政府に紹介しましたが、チベット亡命政府は、麻原の傲慢さを察知し、法王の監督の下におければと思い、面会させたといいます。(ペマ・ギャルポ「チベット仏教から見たオウム真理教」「仏教」別冊8、1996年1月、法蔵館、p4-9. ペマ・ギャルポ (1999年2月25日). "大阪国際宗教同志会 平成11年度総会 記念講演「チベット仏教とは何か」". 国際宗教同志会.。

 同じ見解として、オウム事件後に出版された、ジャーナリストの高山文彦氏が、麻原をよく知るチベット仏教関係者を取材したことが書かれた書籍(『麻原彰晃の誕生』新潮文庫)にも、教団の宣伝とは逆に、麻原に会ったチベットの僧ロブサン・テンジン師らは、麻原の傲慢さなどの問題点を察知し、それを抑えるために、ダライ・ラマ法王に会わせた、と記載されています。

(4)賞賛の言葉の裏にあった背景事情②:チベット語の意味を勘違い
 事前に多額の寄付を行った麻原は、1988年7月6日に、個人的にダライ・ラマと会い、麻原側は、両者の会談の模様をビデオならびに写真撮影しました。
 会談でダライ・ラマが、「ねえ君、今の日本の仏教を見てみたまえ。あまりにも儀式化してしまって、仏教本来の姿を見失ってしまっているじゃないか。これじゃあいけないよ。このままじゃ、日本に仏教はなくなっちゃうよ。だからね、君が日本に本当の宗教を広めなさい。君ならそれができるからね。そうしてくれると私もとても嬉しいし、それが私の役割を助けてくれることにもなるんだよ。」「君はボーディ・チッタ(仏陀の心)を持っているのだから......。」(麻原彰晃『イニシエーション』)と麻原に告げ、麻原は「仏陀の心」を持ち、日本に仏教を広める使命を託されたと賞賛されたとして、ダライ・ラマとのツーショット写真を、全国のオウムの道場に飾るなどして、オウム真理教の広報・宣伝活動に大いに利用しました。

 しかし、これは麻原側のチベット語との言葉の壁による「勘違い」であったことがその約1年後の1989年5月のダライ・ラマ側とのやりとりの中で、発覚することになります。

 上記の、麻原が宣伝に使っていた言葉「日本に本当の宗教を広めなさい。君はボーディチッタ(仏陀の心)を持っている」の意味について、ダライ・ラマ側から「麻原だけ」がボーディーチッタを持っているのではなく、「すべての人にボーディチッタはある」という意味との説明があったからです。

 つまり、これまで、麻原が「賞賛の言葉」だと思っていたことは、チベット仏教の教義では、そうではなかったことが判明したのです(この「ボーディチッタ」は日本語で正確に訳すならば、全ての人々・生き物が潜在的には有している仏性(未来にブッダになる可能性)のことを意味しているということです。
 少なくとも、ダライ・ラマは、麻原を日本の宗教家の中で特別扱いする意図はなく、オウムの宣伝に拡大解釈があったということだったのです。

 先のチベット亡命政府の日本代表であったペマ・ギャルポ氏は、この件について以下のように述懐しています。

ダライ・ラマ法王は、決して麻原さんだけを仏陀だとはおっしゃってないということ。法王がおっしゃったのは、「すべての人々は仏陀になれる。仏性を持っている」ということだけをおっしゃった。決してあなた(麻原彰晃)が仏陀だとは法王はおっしゃってないし、法王はご自分でも、自分が仏陀だとはおっしゃってないんです。『私はただ一人の僧侶にすぎません』と、いつもおっしゃる。その法王があなたのことを仏陀だとおっしゃるはずがない」ということを申し上げましたら、さんざん(麻原に)怒られました。」(ペマ・ギャルポ「チベット仏教から見たオウム真理教」「仏教」別冊8、1996年1月、法蔵館、p4-9. ペマ・ギャルポ (1999年2月25日). "大阪国際宗教同志会 平成11年度総会 記念講演「チベット仏教とは何か」". 国際宗教同志会.。

(5)賞賛の言葉の裏にあった背景事情③:宗教法人認証手続きのために要請

 上記(4)の勘違いが発覚したのは、1989年に、麻原が自らの日本での社会的評価を回復したいため、宗教法人認証手続きを行う際に、ダライ・ラマ側に、麻原・教団への支持を求めた際の、やり取りの中でのことでした。

 ダライ・ラマの書簡によると、1989年1月に麻原は、事前に、ダライ・ラマに10万ドルの寄付をしています。
「1989年1月21日付の手紙と、十万ドルのお布施をいただきありがとうございました。お布施は、チベット難民とチベットの人々への宗教活動に使わせていただきます。」(1989年1月28日 ダライ・ラマから麻原にあてた書簡:『宝島30 麻原彰晃-ダライ・ラマ往復書簡』1996年)

 当時、教団で通訳を担当していた上祐によれば以下の状況がありました。

 1989年、オウムが日本のマスコミに批判された際、麻原は、ダライ・ラマ側に、日本の政府・マスコミ関係者に見せるために、オウムを擁護する推薦の書簡を出してもらえるよう要請しました。しかし、その要請の当初は、ダライ・ラマ側は、以下を理由としてその要請を渋った事実がありました。

①ダライ・ラマとオウムは、組織と組織の関係ではなく、基本的に、法王と麻原の個人的な関係で交流してきたこと、すなわち、ダライ・ラマ側(チベット亡命政府)は、オウムの活動内容はよく知らないこと
②以前ある日本の宗教団体の活動に参加して、その際にダライ・ラマ側が利用された苦い経験があること

 これに対して、麻原側は、麻原が、上記の、以前個人的な会話でダライ・ラマから賞賛されたことを引き合いに出して、さらにダライ・ラマ側に要請したところ、上記「(4)賞賛の言葉の裏にあった背景事情②:ダライ・ラマのチベット語の意味を勘違い」が判明したという経緯でした。

 そのやりとりの中で、次に、ダライ・ラマ側からは、ダライ・ラマの代わりに、高僧であるカムトゥル・リンポチェが個人の立場で、推薦の手紙を書くことはできるという話がありました。

 しかし、これに不服だった麻原は、「チベット仏教の高僧であるカムトゥル・リンポチェ師は、わたしが『イエシェ』に到達したと認めた」と主張し、自らの宗教的ステージを認めるようにと、ダライ・ラマの部下に催促しました。(ここでの「イエシェ」とは、オウムでは、「神の叡智」などと訳され、非常に高いステージのことと解釈されていた)。 

 それに対し、ダライ・ラマの部下の方々は、「仏教の教義では、『誰もが、本質的にイエシェを有している』と言われている」などと応答し、承諾しませんでした。

 また、ダライ・ラマの日本代表のぺマ・ギャルポ氏は、日本での教団への疑惑・批判のために、ダライラマがオウムを支持することに反対の姿勢を取っていました(ダライ・ラマの側近には、オウムを警戒する者と、肯定する者がその時点では存在した)。

 しかし、この騒動の中で、ダライ・ラマ側は、最終的には、オウム教団の要請を受け入れて、賞賛の言葉を書簡として出す結果となりました。最終的には、カムトゥル・リンポチェ個人の推薦の手紙に加え、ごく短い内容であるものの、推奨の手紙を日本の関係者宛に作成しました。

◎ダライ・ラマからの親書
「オウムは宗教的・社会的活動を通じて、人々の覚醒を促すよう努力する団体です。瞑想の実践方法を人々に指導するとともに、オウムの人たちは大乗仏教の伝統を引き続き実践しています。オウムはまた、亡命中のわたしたち仏教徒に対して、つねに多額の布施をしてくださっています。これらの布施は、最近、チベットから亡命してきた学僧の救済に使わせていただきました。このオウムの援助に対して、心から感謝します」(東京都による宗教法人認証手続の際に作成した親書の内容 1989年5月26日)

このように親書は、ごく短いもので、麻原の宗教的なレベルの評価には言及はしていないものの、なぜ、ダライ・ラマ側が、オウムの活動内容を具体的には知らずに推薦状を書くというリスクを犯してしまったのかと考えると、背景には、この手紙にもあるとおり、麻原とオウムが、チベット亡命政府になした巨額の寄付(1億円以上)に対する配慮があったと考えることが妥当と思われます。

 なお、一連のオウム事件発覚後には、ダライ・ラマは記者会見で、「(麻原と)会ったことはあるが、私の弟子ではない。彼は宗教より組織作りに強い興味を持っているという印象が残っている。私に会いに来る人には誰でも友人として接している。しかし、オウム真理教の教えを承認してはいない。私は超能力や奇跡には懐疑的だ。仏教は、一人の指導者に信者が依存し過ぎるべきではないし、不健全だ」(95年4月来日記者会見)

オウム・麻原を支持したのは、私の無知による間違いだった。これが私が生きた仏ではないことを示している」と率直に認めて反省を表明しています。

 なおこの際のカムトゥル・リンポチェからの親書は以下の内容でした。

◎カムトゥル・リンポチェからの親書
「一、私は尊師の献身的心、親切さ、寛大さ、無私無欲の心等、仏教を修める者としての生来の資質を深く称賛いたします。二、尊師は瞑想、タントラ、およびヨーガの熟達者であり、優れた師であられます。三、尊師は公の協力が得られた場合には、真に多くの人々に受け入れられる仏教の師として、日本に真の法を再び確立することのできるお方です。......」(東京都による宗教法人認証手続の際に作成した親書の内容 1989年5月)

 それ以外にもカムトゥル・リンポチェは以下の言葉を述べたことがあります。
「あなた(麻原尊師)は高い悟りを得ています。」「これはイェシェといわれている人が経験できる段階で、普通の人は経験できない段階です。それは非常に、最高の智慧を得た段階です。パーフェクト・アブソリュート・ディヴァイン・ウィズダム(完全なる絶対なる神の叡智)を得ることのできた素晴らしいステージです。」「尊師のご長命をお祈りいたします。尊師ご自身が他の生き物を救済するためにこの世に長くとどまる決心をなさらなければいけません。」(1991年5月・麻原との対談)

 このカムトゥル・リンポチェの賞賛の言葉とされているものについては、実際に語られたものですが、同氏も、多額の献金をオウム教団から受け取っており、さらに、同師はダライ・ラマと同様に、オウム教団に求められて、麻原・オウムを評価・支持する公式の英文の書簡を出していますが、一連の事件の発覚後には、同氏は、「信じられないことだ。確かに二度、麻原に会ったのを覚えている。利用されたとすれば残念だ」と後に語り、それらの麻原・オウムの評価を一切否定しています(毎日新聞社会部『冥い祈り―麻原彰晃と使徒たち』1995年9月)。

(なお、カムトゥル・リンポチェは、英文の書簡は自分は英語がわからないので、自分ではない他の人が書いたものだとまで主張しています。この人物は、後に当時のダライラマの日本代表部のチベット関係者から、この僧侶はいろいろ問題を起こす人物であることが伝えられてきました)。

 なお、この僧侶が、別項目で説明する「麻原の次男がパンチェンラマの生まれ変わりのように思わせる夢を見た」という手紙を送ってきた人物であり、麻原がその件をダライラマ側に確認した際は、ダライ・ラマは、パンチェン・ラマの生まれ変わりはチベットに生まれるとして、麻原の子供がパンチェンラマであることを否定しており、また、ある新聞記者が、ダライラマの日本代表部の担当者に問い合わせた時も、それを否定するとともに、勝手にパンチェンラマの生まれ変わりを認定するのは、中国共産党と同じ冒涜行為だと批判している(一部すでにHPに掲載済みで、詳細は、別項目で詳説します)。

(6)1989年11月坂本弁護士一家殺害事件後の、麻原とペマ・ギャルポ氏との討論

 その後、1989年11月に坂本弁護士一家失踪事件が起きると、ペマ・ギャルポ氏が被害者の会と接触し、未成年者の入会、弁護士一家失踪、血のイニシエーションの話を聞き危機感を強め、チベット亡命政府に麻原と関係を持たないように助言しました。
 これに怒った麻原は、雑誌や本などでペマを「妨害した」「卑劣極まる」と非難しました。ペマ氏は麻原とテレビで共演し、「最終解脱者はダライ・ラマも言っていないし、それを自称するのはおかしい。チベットでも日本でも、最終解脱者を名乗った宗教家はいない。名乗るならば麻原教を名乗ればよく、仏教をやるのはおやめなさい」、ダライ・ラマ法王は『すべての人々は仏陀になれる。仏性を持つ』と麻原にいったのであり、麻原が仏陀だとはいってないし、そもそも法王も自分が仏陀だとはいっておらず、『(自分は)ただ一人の僧侶にすぎない』と、いつもいう。その法王があなたのことを仏陀だとおっしゃるはずがない」と言ったら、麻原は怒りました。
 ペマ氏によれば、血のイニシエーションはチベットの僧侶の誰も聞いたことがなく、また、教団でシヴァ神が祭られているのは奇妙で、麻原がテレビ出演の際に世俗の権威を象徴するような大きな椅子に座っていたことにも疑問を抱いたと語っています。( ペマ・ギャルポ「チベット仏教から見たオウム真理教」「仏教」別冊8、1996年1月、法蔵館、p4-9. ペマ・ギャルポ (1999年2月25日). "大阪国際宗教同志会 平成11年度総会 記念講演「チベット仏教とは何か」". 国際宗教同志会.)

 なお、坂本弁護士一家殺害事件の翌月の、1989年12月には、ダライ・ラマのノーベル平和賞受賞式が行われましたが、麻原は招待されませんでした。( 江川紹子『救世主の野望 オウム真理教を追って』より)

(7)カル・リンポチェ:背景に多額のオウムからの献金と麻原を諭していた事実

 以下に紹介する、チベットの高僧、カル・リンポチェの賞賛の言葉として抜粋されて、オウム・アレフが利用してきたものに関しても、それ自体は、実際に同氏から語られたもの(その一部は、同師が日本でに招かれたときに、オウム真理教の一般信者1000人を前にして語られたものである)ですが、当時通訳をしていた上祐によると、同氏にも、多額の献金を麻原・オウム教団は行っていました

 その裏側では、カル・リンポチェは、自分の弟子たちに対して、麻原は(決して完成した修行ではなく)まだ瞑想・修行が必要であることや、麻原が主張する自らの瞑想体験について「体験は悟りではなく、体験をコントロールできることが悟りである」など言って、繰り返し麻原を諭していた事実があります。

「みなさんは偉大な仏教の師に巡り合い、教えを受けています。それはみんなさんのグル、麻原彰晃尊師です。尊師は偉大な智慧と、偉大な法の理解、そして大いなる愛、すべての者を助けようという願望をお持ちです」(カル・リンポチェ師 88年8月 オウム富士山総本部道場)

「それで彼(=麻原)の言うことをよく聞き、そして信を持ち、そして彼が頼むことは何でも実行しなさい。彼が言うことは何でも実行しなさい。それが、麻原先生が招待したわたしと結んだサマーヤ戒を守ることになります。もしあなた方が麻原先生に対して曲がった見方をするならば、今このイニシエーションで受けた私との戒を破るということにもなります。」(カル・リンポチェ師 88年8月9日オウム福岡道場)

 チベット仏教の修行を経験した中沢新一氏も、カル・リンポチェが上記の麻原を諭していた事実を知らずに89年に、坂本弁護士一家殺害事件の疑惑が麻原・オウムにかけられていた時期に、以下のように述べていたことがありました。

「カル・リンポチェは、......麻原彰晃のことを認めていたらしいですね。チベット人の神秘家は、......相手がどの程度まで精神的に進んでいる人間かどうかを、即座に直感で見ぬきます。カル・リンポチェは大変なミスティック(神秘家)でしたから、そうそうだましたりできる人ではありません。......ダライ・ラマも素直な人ですから、麻原さんの巨大な子供みたいなとこが、気に入ったのかも知れないな」(週刊ポスト1989年12月8日号)

(8)パイロット・ババ:麻原のヨーガ修行の過ちと高額の布施集めを批判

 アレフが利用している麻原への聖者による賞賛の言葉に、インドの著名なヨーガ行者であるパイロットババの賞賛の言葉もありますが、パイロットババも、一連の事件の発覚後に、麻原のヨーガ修行の過ちを否定し(瞑想体験(神秘体験)をもたらす激しい行法に偏り過ぎた修行であったこと)、自分の麻原へのヨーガ行法の教え方が最善ではなかったと反省を示しています。

 加えて、麻原が、パイロットババから学んだヨーガの行法を日本で高額の布施を取って教えていたことに対し、厳しく批判していました。

(9)麻原の家族、特に妻の松本明香理は確信犯的行動に他ならない

 以上、アレフ教団を裏支配する麻原の家族、特に明香理などは、当時直接体験して、こうした事実を知っているにもかかわらず、さらに、これらのチベット・インド僧侶に対して一連の事件で多大な迷惑をかけたにもかかわらず、依然として、その賞賛の言葉を利用した教化活動を確信犯的に行っているということになります。
 これは、いうまでもなく、嘘の言葉で教化対象を騙し、僧たちに迷惑をかけ続けている、際立って詐欺的・独善的・反社会的行為ではないでしょうか?

3 アレフが今も麻原次男(30)をパンチェン・ラマの転生仏と主張する冒涜 

(1)正体隠し勧誘の中で語られた「次男は、パンチェン・ラマの生まれ変わり」

  上記1でご紹介した通り、アレフは、正体隠し勧誘の勧誘活動の中で、麻原の次男(次男は2025年で31歳)を神格化して勧誘する際に、「次男は、パンチェン・ラマの生まれ変わり」と言い、勧誘に利用していることが判明しています。

 パンチェン・ラマとは、チベット仏教ゲルク派においてダライ・ラマに次ぐ高位の化身ラマ(この世の衆生を教え導くために、如来、菩薩、過去の偉大な仏道修行者の化身としてこの世に姿を現したとされるラマ〈師僧〉)への称号です。阿弥陀如来の化身とされ、転生 (生まれ変わり) によって後継者が定められることになっています。

 そのダライ・ラマに次ぐ高位の人物が、麻原の次男であると、アレフは以下のように喧伝しているのです。

 ◎アレフに「次男は、パンチェン・ラマの生まれ変わり」と言われた
(Gさん:2021年9月に脱会支援:札幌)

 次(麻原とチベットの高僧たちとの動画の次)に、麻原の次男の写真(紫の服を来た子供の写真)を見せられ、「次男は今は事情があって離れているがもうすぐ戻ってくる」「教祖の麻原さんはいず、どこを信じていいか迷うかもしれないけど、麻原の次男という崇高な魂がこの世にいる麻原の次男は、チベットの高僧・パンチェン・ラマの生まれ変わり麻原に代わる崇高な魂が、この世にあるということを信じて。修行を積んでいればいつか会えるから」と言われました。

 また、麻原は、報道では、仏教の不邪淫の戒律を破っていると批判されているが、麻原の行為は、戒律に反さず、自分の練り上げた魂を受け継ぐ「子孫」を残す、魂を残すという意図で、次男を生まれさせたのだ、と言われました。」

 しかし、当然そのダライ・ラマに次ぐ高位の人物が、麻原の次男であるということは、事実ではありません。

 (2)アレフは、ダライ・ラマが既に否定した事実を把握しながら、虚偽の内容を利用し続けている

◎麻原がカムトゥルリンポチェの見た夢を利用し主張

 麻原の次男(2025年3月で31歳)は、1994年に誕生して以来、生まれながらの最終解脱者と麻原により喧伝されていましたが、その後、麻原は、獄中時のオウム教団に対する1996年5月28日の破防法弁明手続の席上で以下の話をしています。

 (1994年の2月に中国に旅行に行った理由として)その当時ちょうど妻のおなかに赤ちゃんが入っていまして、啓示で、その赤ちゃんがパンチェン・ラマの生まれかわりであるということを知ったものですから、それによって中国行きを決めた

と述べており、これに対して同席の弁護士が、「これは94年の3月の11日にお生まれになった6番目のお子さん、男の方ですが、璽暉さんのことですね。」と麻原に問うたところ、麻原は、

はい、そうです。

と答えています(公安調査庁作成「第4回弁明期日調書」より)。

 麻原は、上記の弁明期日において「啓示で知った」と述べていますが、実際には、麻原の知人のチベット僧、先のカムトゥル・リンポチェから、そうとも解釈できる夢を僧が見たとの手紙を受け取ったものでした。

 このチベット僧は、オウム教団から多額の寄付を受け、オウムを支持する公式の英文書・手紙も作成しましたが、一連のオウム事件発覚後は、その事実を一切否定しました(自分は英語は読めず他の者が書いたと主張)。他のチベット関係者によれば、その僧は、チベット仏教の世界の中でもいろいろな問題がある人のようでした。

◎ダライ・ラマは、手紙でパンチェン・ラマ生まれ変わり説を明確に否定

 事実、1995年の一連のオウム事件の発覚前に、麻原・オウムが、チベット亡命政府に対して、次男がパンチェン・ラマの生まれ変わりではないかと問い合わせたところ、同亡命政府からの正式な返答は以下の通りでした(ダライ・ラマ法王秘書テンジン・ゲチェ・テトンによるもの)。

(ダライ・ラマ)法王は、パンチェン・ラマの生まれ変わりに関する予言と宗教的な徴(しるし)はすべて、彼がチベットに生まれることを示しているとお知らせするよう指示しました。彼はチベットで見つかり、認定される可能性が強いのです(後略)

つまり、ダライ・ラマは、30年前に明確に否定しているため、この事実は、アレフの麻原家族は、当然認識しているにもかかわらず、虚偽の内容を使い続け、利用し続けているのです。

◎ダライ・ラマ法王日本代表部事務所は冒涜と怒り

 2020年頃、日本の新聞記者がダライ・ラマ法王日本代表部事務所に取材をしたところ、以下の返答を受けたということでした。

・オウム真理教がかつて、麻原彰晃の息子をパンチェン・ラマの生まれ変わりだとしていたことについて、代表部は直接知らないが、1995年の事件の後、そのような報道に接したことがある。

・パンチェン・ラマの輪廻はチベット仏教の最高位の僧侶の協議で決定されるものであって、正統な過程や、協議体を無視して選任することはできない。そのようなことをしているとすれば、中国共産党が勝手に、パンチェン・ラマだとする僧侶を任命していることにも匹敵する冒涜行為であり、人々が敬意と尊重のまなざしを向けることはない。

オウムの後継団体がいまもそのような形で麻原の息子をパンチェン・ラマだとしているとすれば、許されることではない

 なお、ダライ・ラマは、一連の事件が発覚する以前に、麻原・オウム真理教からチベット難民支援のための多額の寄付を受ける中で、オウム真理教を肯定する公式の書簡を出したことがありましたが、一連の事件発覚後には、麻原・オウムを支持したことは私の無知によるものだったという率直な反省を表明しています。

麻原の家族、麻原の妻の松本明香理の確信犯的・詐欺的な手法

 前記の通り、すでに1995年の時点で、チベット亡命政府から明確に否定する見解が伝えられていたにもかかわらず、アレフ教団を裏支配する麻原の家族(特に明香理など)は、そのことを信者らには秘密にし、次男をパンチェン・ラマの生まれ変わりとして神格化し続けたのは大変問題であり、その後もそれが続いていることは、勧誘対象に対する、詐欺的な手法というほかないと思います。

 仮に、自らをパンチェン・ラマの生まれ変わりだとするような、チベット関係者には冒涜的な教化活動をアレフ信者が行うことについて、次男自らが容認しているとするならば、かつてチベット関係者を利用して多大な迷惑をかけたアレフ(旧オウム)が依然としてその姿勢を改めていないという点において、重要な問題だと思われます。

 もし、教団を裏支配している疑いのある次男が、自分をパンチェンラマの生まれ変わりであるとして信者に布教するように指示していたり、やめるよう指示していないとするならば、チベット関係者が、中国共産党と同じ類の冒涜とまで訴えていることを、まさに本人がしていることになり、これまでにオウムがチベット関係者にかけた迷惑を考えれば、信仰の自由を逸脱した、際立った独善性・反社会性ではないでしょうか?

  特にアレフは、オウム事件により、亡命生活の多大な困難の中で、教えを大切にして生きている純粋なチベット仏教関係者の方々をも、たいへんなバッシングに遭わせ、チベット仏教に対する不信感もつくる結果となり、チベット関係者が中国共産党にオウムとの関係を批判されることになりました。

 にもかかわらず、今なお、麻原次男をパンチェンラマの転生仏と主張し利用し続けていることは、オウム事件から30年の現在に、引き続き、チベット関係者に多大な迷惑をかけ続けているということであり、あまりに自己狂信・独善的と言わざるを得ません。このことを知ったチベット関係者は、中国共産党の勝手なパンチェンラマ認定と同じ冒涜と感じているのです。

第3,アレフが、事件を知らない若者に間違った違法な思想の解釈を植え付けるしくみ──「輪廻転生」と「グルの必要性」などを間違って説く

 アレフは、伝統の正当な仏教・ヨーガの思想の解釈に反する、間違った違法な思想の解釈を、教化対象者に繰り返し植え付ける洗脳的な教化の手法を使っています。
 正体を隠すことによって、社会一般の客観的な視点・情報・事実から隔絶された、一種の特殊な密室的な人間関係の中で、事件を知らない多くの若者などに植え付けられてしまう仕組みができているのです。
 そして、そのようにしてアレフの主張を信じ込んでしまった被害者がそのままとなっている問題があり、速やかな解決が望まれます。

 これまで、ひかりの輪で行ってきたアレフ信者の脱会支援活動の中で、アレフは、その正体隠し勧誘のための覆面ヨーガ教室において、アレフないし宗教団体であるという正体を隠した教化活動の段階で、すでに、オウム真理教の中核の教義である「輪廻転生」、「カルマの法則」、「グルの必要性・絶対性」を(グルをオウムの麻原・麻原次男だとはまだ言わずに)説いていることが判明しているので順に述べます。

(1)麻原や麻原次男は、伝統の「正しいグルの基準」の条件を満たしていない

 グルの必要性・絶対性に関しては、伝統の正当な教義においては、仏祖の釈迦牟尼を神格化せずに、尊敬の対象にとどめる上座部仏教や、仏陀や菩薩という存在を神格化するとともに、あたかも自分の宗教的指導者グルを神格化する、いわゆるグルイズム、ラマイズムなどと呼ばれる宗派もあります。しかし、後者においてさえ、「正しいグルとは何か」を含めた判断基準を含めて、正しいグルを選ぶことの重要性が、しっかりと教えられています(同時にグルとされる者が正しい弟子を選ぶ重要性も教えられています)。

 しかし、アレフの場合は、その重要な教えを抜きにして、「グルの必要性・重要性」を説いてしまいます。伝統の正しいグルの基準を学ぶならば、アレフにとっては残念なことでしょうが、麻原やその家族がその条件を満たしていないことは明らかだと思います。こうした教えの説き方は、伝統の正当な教えからすれば、偏っており、間違った教えによる教化ということになります。

(2)グルを絶対化する過ち

 また、グルを絶対とみる密教系の教えについても、それはグルを客観的な意味で、すなわち、実際に絶対(全知)とみるのではなく、弟子のエゴを弱めるための方便手段として、教わる相手のグルのあらを探さずに、自分の問題を内省するためのものであり、グルを絶対化して、グルの指示による犯罪を正当化するためのものではないというのが伝統の正当な解釈です(例えばダライラマ日本代表部などの解釈)。

(3)旧統一教会の「正体隠しの違法な伝道教化活動」の問題が、アレフにも当てはまる

 また、旧統一教会の民事裁判で民事上の不法行為として問題になった、正体隠しの違法な伝導教化活動の問題の重要性も、一連のオウム真理教事件の首謀者である麻原を「グル」としている団体が、「オウム真理教」と「麻原」の個人名という、きわめて重要な情報を隠しながら、一般論として、仏教・ヨーガ・グルの重要性を説くことによって、教化される側が、自由な正しい判断をすることを妨げてしまということにあることは、自明と思われます。


(4)旧統一教会の「恐怖を与える教化活動」の問題も、アレフにも当てはまる

 さらに、オウム・アレフが説く「輪廻転生」を絶対視する教義は(オウム・アレフに限ったことではなく昔から浄土系といわれる宗派にも当てはまるかもしれませんが)、そうしたタイプの思想に共鳴しやすい人に対しては、「修行しなければ、来世地獄に落ちる」という恐怖感を与えます。この恐怖を与える教化活動は、旧統一教会でも問題になったものであり、信教の自由とがあるとはいっても、社会通念上許される範囲を超えてはならないというのが、裁判の判例であることはご存じのとおりです。

◎アレフ脱会支援の実例:脱会を申し出ると、そのままだったら地獄に落ちると言われた
(Gさん:2021年9月に脱会支援)

 ひかりの輪の脱会支援窓口に相談した後、「辞める」と決め、勇気を出して、アレフに脱会の電話をしました。すると、
「蓮華座痛いでしょ?そのままだったら地獄に落ちるんですよ」
と言われ、その後、不安に悩まされました。
(※蓮華座:オウムでよく行う厳しいヨガの座法)


「地獄に落ちる」という脅し:アレフ脱会支援の実例から(Hさん 20代男性 東京都 会社員)

 「オウム事件は陰謀によって起こされてオウムは陥れられた」という話や、オウム事件は、麻原尊師が起こしたものだが、深い宗教的意味があったという話を聞かされた私は、アレフに疑問を感じるようになり、2009年10月頃、アレフ東京道場の幹部に、アレフを辞めたいと申し出ました。
 すると、それから1週間ほど経ったある日の夜9時頃、私の自宅アパートに、アレフ幹部や信者が3人でやってきて、表に駐めてあった車に私を連れ込みました。そして、車の中に設置してあったビデオデッキを使って、ある映画を見せられたのです。
 それは、悪いことをした人たちが地獄に堕ちて、針の山を登らされたり、鬼から虐待されたりして、血まみれになって苦しんでいる場面が延々と続く映画でした。
 彼らは、このような地獄の残虐な模様が描かれている映画を私に見せながら「もしHくんがアレフを辞めたら、グル(麻原)との縁が切れて、このような地獄に堕ちるんですよというような話を私にしました。私は、夜中にこんな脅しのような引き留めを受けて、どうしていいものか悩んでしまいました。

「麻原に救済されなければ、三悪趣に落ちてしまう。だから辞められない」

「皆、猛烈に反対し、どんなに危険な団体か説得されました。しかし私は、"事件ははめられたもの"といわれていたし、『そんなことは関係なく教えが素晴らしいのだから問題ないはず、ここをやめたら三悪趣やし私の輪廻はどうなるんだ』と思い、やめたくありませんでした。

(5)現実に反する空想や誇大妄想を抱かせ、誇大宣伝と虚偽を信じさせる詐欺的主張

 また、アレフの場合は、「修行するならば、解脱・悟りを成就して、自分が特別な存在になることができる」ということを空想・誇大妄想を抱かせる面があります。
 オウム・アレフが始まって40年が経ちますが、その現実が、空想誇大妄想であることを証明しています。
 その予言が当たらず死刑となった麻原をはじめとして、オウム・アレフが最終解脱者と称した教祖も、解脱者・成就者と称した弟子たち・幹部信者も、重大犯罪を犯してすでに死刑になったものに加え、平均寿命前に病死した人も少なくなく、超人でも何でもありません。

 アレフはこうした自分たちを、客観的に評価することがなく、いまだに教団発足の時期と同じように、教団に残る幹部信者を「成就者」などと呼称して過大に評価したり、先に述べたように、麻原の次男を、客観的な評価に反した独善的・反社会的な主張によって神格化するといった、誇大宣伝・虚偽の主張を続けています。

(6)アレフの正体隠し勧誘は、重大な嘘や盗みの「悪行」であり、多数の犯罪(詐欺罪、特定商取引法違反、民事上の不法行為、強制執行妨害罪)

 また、悪行によって地獄のような低い苦しい世界に生まれ変わり、善行によって高い幸福な世界に生まれ変わるという、一般に、「輪廻転生」と、それを左右する「カルマの法則」と呼ばれる思想が、ヒンドゥーや大乗仏教における伝統的な教義だとしても、その中で、オウム・アレフ教団が行ってきた犯罪は、悪行の典型であり、さらにアレフは依然として行っている悪行があります。

 特に、オウム事件を「陰謀である」と主張したり、その前提として、自分たちの正体を隠して偽ることは重大な嘘の悪行であり(刑事的には、詐欺罪・特定商取引法違反で実際に摘発されており)、賠償契約を履行しないこと、相手の債権回収を妨げ、自分の債務を履行しないことは、事実上他人の財産を不当に奪うという意味では盗みの悪行であり(民事上の不法行為であるとともに、刑事上は強制執行妨害)、その他教化活動における、様々な重大な嘘の悪行があると思われます。

(7)自由で正しい意思形成・判断を妨げ、繰り返し刷り込むアレフの正体隠し勧誘

 こうして、自分たちが説いた教えに基づいた、自分たちを客観的に評価することを回避する、大きな自己矛盾をはらんだ勧誘活動ですが、これもまた正体を隠した勧誘活動の中で、教化対象に、自由で正しい意思形成・判断を妨げながら、繰り返し刷り込んでいく誤った歪んだ印象形成です。

 また、教化活動の一部においては、オウム真理教の一連の事件を正当化するために、殺人など通常、仏教で悪行とされる行為を正当化する密教系の教え(いわゆるヴァジラヤーナ五仏の法則)が説かれる場合がありますが、それは、麻原・オウムの密教系の教えの誤解・曲解・悪用です。
 その教えの正当な解釈では、そのような密教系の教えは、そもそもが文字通りに受け取るべきではなく、比喩として解釈するべきであるとされています(例えばダライラマの解釈)。こうした伝統の正当な教えの理解がなく、麻原我流の誤った解釈が依然として行われていることが懸念されます。

 そして、こうした間違った教義解釈のなかで、「オウム真理教の事件の被害者は、悪いカルマがあったために、その被害者となった」などといった主張も見られます。

 こうして、自分たちの教祖・教団の犯罪・悪業は認識せずに神格化さえして、被害者側にその責任を転嫁をし、謝罪と賠償の贖罪から逃避しようとする心理も見られます。

◎麻原と教団を正当化する、事件の解釈をアレフ信者から聞いた
(Gさん:2021年9月に脱会支援:札幌)

 オウム事件、地下鉄サリン事件の話をアレフ信者から聞きました。
 彼らは、今の日本は、アメリカやフリーメーソンなどの大きな勢力が、本当のことを隠して、日本はその言いなりになって国民を従えている世の中となっている中、麻原は、真理に気づいているから、目をつけられて、弾圧されていたんです。 麻原とオウムは、大きな勢力に立ち向かおうとしていたので、真理を食い止めようとする日本政府や国民が、正しいことをしているオウムを止めようとしていました。
 だから、地下鉄サリン事件をやったんです。真理をつきつめるためにやるしかなかったんです。オウムはそうした勢力に立ち向かおうとしていたんです。
 事件を起こせば大ごとに、ニュースになり大体の人に反感を買うけれど、存在が伝わることになる。真理を追究する者の代表として代表として麻原は動いてくれたんです。国民からの怒りを買うけれど、あえて反感を買うことで、悪い政府たちに立ち向かうことで、オウムの信者たちを引き上げていたんです。と言われました。

 そして、口にすることも嫌な内容ですが・・・。被害者の方々が地下鉄に乗り合わせ、亡くなったのは、偶然ではなく、悪いカルマが積みあがった人たちだったからそうなった、カルマのいい人を殺したわけではないんです。被害者遺族たちも苦しみを背負ったけれど、背負うべくして背負ったんです。という教団を正当化する話を聞きました。

 また、事件後、警察とかが踏み込んだりして、アレフの邪魔をするのは、修行の邪魔をしていることに他ならないが、これは、わたしたちの修行の難易度を上げるために試練として起こっていることで、警察たちはこちらに難題を持ってくるのであり、わたしたちが修行者であるからこのようなことが起こっていることは間違いありません。
 例えば、気持ちの面で、今まであなたに起こったつらいことは、あなたの魂を昇華させ上げていくための試練だったと思いませんか?と言われました。

 以上のように、アレフは、伝統の正当な仏教・ヨーガの思想の解釈に反する、間違った違法な思想の解釈を、教化対象者に繰り返し植え付ける洗脳的な教化の手法を使い、正体を隠すことによって、アレフには、社会一般の客観的な視点・情報・事実から隔絶された、一種の特殊な密室的な人間関係の中で、事件を知らない多くの若者などに植え付けられてしまう仕組みができているのです。
 そして、現在も、そのようにしてアレフの主張を信じ込み、アレフに入信してしまった被害者がそのままとなっている問題の、速やかな解決が望まれます。



第4,現在のアレフの違法行為への、行政の対応の不足や遅れの解消を望む

 上記のように、現在のアレフの違法行為が続き、規制されていない現状には、行政の対応の不足や遅れがあるとはいえないでしょうか。


 公安調査庁は、上記に挙げるような、アレフの長年に渡る広範な詐欺的な布教活動、すなわち正体を隠して「オウム事件を虚偽・陰謀」と主張するアレフ教団を、長年把握し、批判しながらも、実質、現在まで、上記のような詐欺的布教活動を放置したままにしている状況ではないでしょうか。

 具体的には、アレフに教団に対しては、2023年3月から、団体規制法に基づいて、「寄付の受領」や、「一部施設の使用禁止」の再発防止処分を科しましたが、肝心な「入会勧誘の禁止」はせずに、詐欺的布教は放置したまま、事実上容認している状態なのではないでしょうか(不十分な再発防止処分)。


 また、オウム・アレフは、公安調査庁が長年主張してきたように「グルが絶対」という強い思想の特徴のある教団であるのに、麻原に、「後継グル」と指名された、麻原の家族の教団の裏支配を示す情報、ないしそれを推認する情報を度々つかみながらも、事件後のこの30年の間、立入検査もしてこなかった調査の不足は明らかではないでしょうか。


 さらに、賠償命令が裁判で確定したにもかかわらず、アレフは、賠償を長年拒絶し、国に資産を報告せず、被害者団体が強制執行(強制回収)のための情報を得るために、国にアレフ資産の情報の照会手続きをした際も、不合理な批判・妨害行動をするなどしました。

 このような、「強制執行妨害罪」の疑いがあるにもかかわらず、本格的捜査を行う気配がありません(捜査機関に告発すべきではないか)。


 さらに、被害者団体が訴えた「著作権侵害の疑い」に関しても、本格捜査の気配がありません。「上が絶対」であるアレフ教団は、末端信者の微罪による刑事捜査を繰り返しても、その行動を変える上では効果はなく、上層部の刑事責任を問わなければ(賠償などに関する)行動は、変わりません


  なお、2年前に公安調査庁が、アレフに対し、寄付の受領・施設の使用禁止をした際に、公安調査官と話をした上祐によると、上祐が接した公安調査官は、それでアレフが変わることを期待していた様子だったので、アレフの信仰と心理からして、それで変わることは決してないことを助言したことがありました。

 公安調査官が、アレフの教団や信者の信仰・心理の理解不足のため、対応が後手後手となってはいないでしょうか。そのために、結局、アレフの、オウム事件への賠償不履行問題の解決や、正体隠しの詐欺的な布教活動の被害について、十分な拡大防止には至っていないと思われます。


 また、国側の心理として、宗教弾圧や、スラップ訴訟といった、教団側の常套手段的な反撃を恐れて腰が引けたり、「上が絶対であるのに、違法行為を末端の責任にして隠ぺいする」という宗教教団の特性を考慮せずに、保守的・固定観念的な法解釈に固着していれば、30年前のサリン事件や、旧統一教会の事例と同じように、対応の遅れ、空白ができてしまうのではないでしょうか。

 事態は様々に多数あり、深刻なため、「空白の30年」と言われた旧統一教会への対応の遅れ・空白の二の舞にならないよう、切に願います。

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