♪「天岩戸の物語 序章」
この曲は、実は戸隠に行く前からBGMとして作られていたものです。
今回聞き直しをしていたら、戸隠の山にピッタリだったので「天の岩戸の物語 序章」という名前をつけました。
なぜ序章なのかというと、戸隠については奥が深く、イメージ音楽がまだまだ作れそうだったからです。
天の岩戸で有名な戸隠伝説......
昔、天照大御神(あまてらすおおみかみ)という女性の神様が、弟であるスサノオの乱行を怒って岩屋にこもってしまい、世界が暗闇となってしまいました。
八百萬の神々が天の安河原に集まって、岩戸を開く策を練り、天宇受売女命(あまのうずめのみこと)が岩屋の前で大変妖艶な舞を踊り、八百萬の神々のどよめきに、何事が起こったのかと天照大御神が岩戸を少し開けられたその一瞬を逃さず、怪力無双のタジカラオノミコトが、岩戸を取って遠くへ投げたのです。
一方の戸は九州宮崎県の高千穂町へ、そしてもう一方の戸が信濃の国、戸隠へと落ちました。やがて岩戸が山となり、戸隠山と呼ばれるようになった、ということです......。
この「岩戸を開く」というのが、修行者にとっては、自我の扉を開き一元の悟りを得る、という意味にも解釈でき、奥社の参道を歩くことが生まれ変わりを意味するとも言えます。
また、戸隠山自体は、修験道の修行場として知られています。
この「序章」は、もともと純和風の、琴と笛のみの組み合わせでしたが、より古代の自然の感じを出すためには琴よりもピアノの方が合うような気がして、音を変えました。
戸隠のどんな部分を表現しているかと言えば、古代の戸隠のイメージです。
古代から息づく自然や、そこに吹く風、風に揺れる木々、散り舞う木の葉の中に姿を現わす地神である龍神、そういった山の中に入って神を見い出す人の敬虔な思い...、そういったものでしょうか。
ちょっと個人的な話になりますが、戸隠は長野市のすぐ近くにあり、この辺りの山は、私が幼少時代長野に住んでいた頃に、山の神様を感じた場所でもあります。
そういった印象も含め、魂のドラマとしての戸隠伝説を、いつか組曲にしたいと思っています。(小林)
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