4.感覚的瞑想:シンボル瞑想
ここでは、ひかりの輪で行っている「シンボル瞑想」をご紹介します。これは、特定の宗教・文化によらず、人類に共通した普遍的な「聖なるシンボル(象徴)」と思われるものを活用した瞑想です。
ここでいう「シンボル」とは、心理学的な用語であって、宗教の用語ではありません。そして、聖なるシンボルとは、それを見たり、聞いたり、語ったりすることで、心が静まる、浄化されるようなものを言います。
以下に、ひかりの輪の瞑想で用いる、聖なるシンボルの具体例をご紹介します。
1.雄大な大自然(Awe(オウ)体験)
雄大な大自然に身を置くと、大自然に対する畏敬の念などが生じることを、欧米ではAwe(オウ)体験と呼んで、その心身への影響が科学的に研究されています(英語のaweは畏敬の念という意味)。
自分が大自然の中ではちっぽけな存在であると感じ、驕り・エゴが減少し、大自然に支えられていると感じ(感謝・愛)、幸福感・リラクセーションを感じるとされます。また、脳活動の活性化、免疫力の向上、刹那的な欲求の抑制=長期的な価値観の強化などが生じ、心身の健康が促進されるそうです。
実際に、雄大な自然を見ると気分が良くなり、心が広がるといった体験をすることは、皆さんにもあるのではないでしょうか。こうして、雄大な自然もまた、特定の宗教・文化に限られない、人類普遍の聖なるシンボルだと思われます。
2.光輪(ハロ、halo)
宗教全体に共通する聖なるシンボルとして、英語でhalo(ハロ・光輪)と呼ばれる光の輪があります。仏教では、後(ご)光(こう)・光(こう)背(はい)などとも呼ばれ、仏画や仏像で仏様の後ろに描かれ、キリスト教などの宗教画でも、イエス・マリアなどの聖人や神様・天使の背後や頭上に描かれます。
そして、同じくhalo(ハロ・光輪)と呼ばれる、太陽の周りの虹の光の輪が現れる大気光学現象があります。日本語では日暈(ひがさ・にちうん)とも呼ばれますが、ひかりの輪では、この写真画像を瞑想に使っています。
釈迦牟尼の仏画
イエス・マリアの宗教画(◎新美ブログ)
ハロ・光輪・日暈
心理学者のカール・ユングも、世界の諸宗教・文化を研究し、人類普遍のシンボルとして、中心に太陽・月・星があって、その周りに輪がある形状をとるマンダラ・シンボルの存在を提唱しました(マンダラは丸いという意味)
また、太陽とその光は、多くの宗教で神仏と結びつき、世界各地に太陽信仰があり、日本神道の信仰の中心も天(あま)照(てらす)大神(おおみかみ)であり、奈良の大仏も太陽の仏様です。
宗教ができる前から、太陽の光と熱は、人の生命と物を見る力を支える最も重要なものであり、これを尊ぶのは人類全体が共有する本能的な感覚であり、これから太陽をはじめとする原初の自然信仰が生まれたのでしょう。
なお、参考までに、ハロと同じく、虹の光の輪を伴うブロッケン現象と呼ばれる大気光学現象があります。日本では古来、これが仏とその後光だと見なされ、2500年前の釈迦牟尼の教団でも、仏の現われと見なされた故事があります。
ブロッケン現象(🄫Wikipedia)
3.仏画
下にご紹介する仏画は、仏陀釈迦牟尼の背景に、光輪(ハロ)と雄大な山々などの自然が描かれています。
人類普遍の聖なるシンボルの光輪や雄大な自然が、仏教の聖なるシンボルの仏様と結び付けられているのです。
なお、この仏画の後光は虹の色であり、釈迦牟尼は太陽族の末裔といわれますから、仏画全体が、太陽の周りの虹の光の輪とシンクロしています。
4.言葉のシンボル:マントラ(聖なる言葉・真言(しんごん))
仏教・ヨーガには、マントラ(聖なる言葉)を繰り返し唱える修行があります。
仏教・ヨーガの伝統の中では、心が静まるなどの心身への良い効果があるとされていますが、近年の心理学(特に身体心理学)の研究で、人が発声する音と心の状態の関係を調べると、この中に多く含まれるA音やM音などを発声すると、心を安定・解放させる(生理的な)効果があることがわかりました。
これは、その音を発声したり、聞いたりすることで心が静まるという、聴覚的・言語的な聖なるシンボルということができると思います。そこで、ひかりの輪でも、以下の仏教の代表的なマントラ(三宝(さんぼう)真言(しんごん))の瞑想をしています。
◎三宝真言
ナマ ブッダ ヤ (ブッダを尊重します)
ナマ ダルマ ヤ (ブッダの教えを尊重します)
ナマ サンガ ヤ (ブッダの教えを実践する集いを尊重します)