13.オウム事件と9・11テロ事件で再び注目された60年周期説
そして、この60年周期説は、1995年のオウム真理教事件と、2001年の9・11テロ事件によって、あらためて、大澤真幸氏などの識者から注目されることになった。その事情は、以下のとおりである。
1936年に2・26事件という武力革命のテロ事件が起こり、その前年の1935年には大本という宗教団体が危険視されて摘発されているが(実際は冤罪)、ちょうどこの60年後の1995年に、オウム真理教の地下鉄サリン事件が起こっている。
2・26事件を起こした集団の首謀者とされたのは(偶然にも麻原と似た)隻眼の霊能者の北(きた)一(いっ)輝(き)という人物であった。事件に参加した青年将校の中には、大本教団のシンパがいたという情報もあったようだ(情報の真偽については議論がある)。ただし、大本教団の教祖・出口王仁三郎は、北一輝からの協力要請を一蹴して断ったという。
出口は、大本教団の摘発の際に冤罪で逮捕されたが、裁判では無罪となって保釈されており、さらに、逮捕によって大日本帝国の戦争に協力せずに済み、恒久平和を唱える宗教家として神に守られたと語る平和主義者だった。
次に、1941年に第二次世界大戦が始まったが、ちょうどその60年後の2001年に、9・11同時多発テロ事件が起こっている。9・11テロが発生した直後の米国メディアは、「2回目の真珠湾攻撃」と騒いだ。これは、イスラム原理主義者の宗教的動機に基づく航空機による自爆テロが、60年前の大日本帝国による真珠湾に対する航空機による奇襲攻撃や神風特攻隊と重複したからだと思われる。
なお、ジャーナリストの立花隆氏は、9・11テロに結び付くイスラム原理主義者の自爆テロは、元をたどれば、日本赤軍が中東地域で行った自爆テロをイスラム教徒が見たことがきっかけであるとしている。
さらに、9・11テロでは、早朝の大都市で複数の公共交通機関を使用した同時多発のテロが行われたが、その形態が地下鉄サリン事件の形態と酷似していることから、そこから影響を受けた可能性も指摘されており、大日本帝国の対米戦争も合わせて、9・11テロに対する日本の影響が指摘されている。
《出典:2023年GWセミナー特別教本『覚醒の道:仏教の幸福哲学 400年周期の仏教改革の開始』第2章より》