7.精神世界の周期説:天体の周期運動・占星学との関連
村山氏の文明法則史学と同じ800年周期説をとりながら、作家の千賀一生(ちが かずき)氏は、スピリチュアルな体験をきっかけとした歴史分析で、以下の主張をしている。
①人類の文明の中心地が、800年周期で東西に交替して現れるが、各中心地は、経度にして22・5度の間隔をあけて存在する。
②現在は欧米を中心とした文明の最中で、中心地はロンドンで、副中心がワシントン
だが、21世紀に始まる新しい800年の文明は、東経135度(=日本・明石・淡路他)上に、中心が来る。それは、精神性・一元性・女性原理を重視した文明である。
これに基づいて、千賀氏は「わの舞」という踊りを提唱して普及活動をしているが、なぜ800年周期になるかというと、回転する駒が首を振るように、地球の地軸が25800年ほどの周期で「歳差運動」をしている結果であるという(25800年の32分の1がおよそ800年となる。また360度の16分の1が上記の22・5度である)。
しかしながら、歳差運動が人類の活動の変化に影響を与える因果関係は当然示されていない。
なお、千賀氏は、惑星直列の周期である9年を重視し、9年周期説も説いているが、9年周期といえば、日本の伝統文化の中では九星気学がある。
また、その倍数である18年周期説、72年周期もあるとしている。
また、18年の周期に関しては、千賀氏以外にも、近年の経済問題が、1973年オイルショック → 1991年バブル崩壊 → 2008年リーマンショックと、ほぼ18年ないし17年周期だと見る人がいる。
また、72年周期に関しては、1923年関東大震災 → 1995年阪神淡路大震災、1929年大恐慌 → 2001年9・11同時多発テロ事件などである。
こうして、これらの説は、天体運動の周期性と連動しているのが特徴であるが、それは、占星学との共通点である。
占星学は、複雑な周期説の総合ということもできる。
というのは、天体の運動は、全く周期的であり、それゆえに太陽や月や惑星の地上から見た位置(天球上の位置)も周期的である。
そして、占星学は、星の天球上の位置と、地球上の人間や国の状態がシンクロしていることを前提としたものであり、それを前提として、過去の天体配置と似た天体配置が、未来に周期的にやってくる中で、ある天体配置の時に起きたある出来事が、未来の似た天体配置の時にも起きると考えるものである。
なお、星の天球上の位置と、地球上の人間や国の状態とのシンクロニシティに関しては、統計学的な手法による科学的な検証が試みられたことは乏しい。
その中で、ソルボンヌ大学の心理学者・統計学者ミッシェル・ゴークランは、人の誕生時の火星の位置と、その人の職業の膨大な統計をとり、両者には相関関係があると結論づける論文を発表した。
これに対して、疑似科学に対して科学的な調査・批判を行う米国の国際的非営利団体CSIは、この論文を否定できると決めつけて活動したものの、調査して得た結果は予想に反して、この論文を不本意ながら追認せざるを得ない結果になったという(※参考文献:占星学の科学的な検証事例 Wikipedia「占星術」)。
とはいえ、このゴークラン氏の研究では、検証範囲が著しく限定されており(火星に限定)、占星学が前提にするシンクロニシティ全体を検証するには、全く質量とも不十分なものであり、それは今のところ科学的に証明されたということはできないだろう。
※付記:
天体現象と地上の現象の相関関係を扱う科学的研究
科学の研究で、この天体現象と地上の現象のシンクロニシティを扱うものが、わずかではあるが存在する。
例えば、太陽活動は、周期的に強くなったり弱くなったりしているが、その結果として、地上にも周期的な現象が生じることである。
例えば、太陽活動が減少すると、太陽の磁力線が弱り、その磁力線が妨げていた地球への宇宙線の放射が増大する。
すると、地球上の雲が増大して寒冷化するとか、因果関係は不明であるが、地震や火山噴火の増大と時期的に非常に濃厚な相関関係があることがわかっている。
この逆に、地球や他の惑星の引力が、太陽の表面の流体の動きに影響を与えることがある可能性があるという研究報告もある。
その結果、地球等が引き起こした太陽活動の変化が、今度は地球等の惑星に影響を与える可能性があるから、太陽と地球を含めた惑星は相互に影響を与え合っており、その意味で、私たちが知る以上に、両者はシンクロしている可能性はある。
《出典:2023年GWセミナー特別教本『覚醒の道:仏教の幸福哲学 400年周期の仏教改革の開始』第2章より》