内省法「内観」
「ひかりの輪」で、内観の世界的権威の方にご指導いただきながら実践している内省法「内観」についてのコーナーです

自己反省法「内観」とは?

内観の方法と効果

かつてのオウム真理教および現在のアレフ(Aleph)では、特に出家信者と親族との連絡を規制するなど、家族・親族を軽視する傾向が強く、それが一連の事件の原因の一つになったものと当団体では反省しています。

そこで当団体では、2009年2月以降、刑事政策・犯罪者更正の専門家のご指導をいただきながら、組織的に「内観」を実践し、オウム時代への反省・総括をいっそう深めています。

内観とは、もともと、自分を反省するための浄土真宗系の一派の修行「身調べ」から生まれたとされています。身調べから宗教的な要素を取り除いて、誰にでも実践可能な自己探求法・自己反省法として、吉本伊信氏によって、70年ほど前に確立され、効果が認められているものです。

これまで、犯罪者更生、更生教育のために、刑務所や少年院等でも指導されてきており、内観の実践者が5年以内に再び刑務所に入ってくる確率(再入率)は、 実践していない者に比して約50%に低下しているとの報告がなされているほどです。また、内観は、企業研修や学校教育、心理的な治療の場でも用いられてい ます。

内観では、自分がこれまでの生涯で、
①他人からしてもらったこと
②他人にして返したこと
③他人に迷惑をかけたこと

--を一つ一つ思い出していくという作業を行います。

すると、自分は両親をはじめとする周囲の人物から非常にたくさんのことをしてもらっているにもかかわらず、自分は周囲に大したことをして返してあげておらず、むしろ多くの迷惑をかけてきたという事実に気づき、すなわち自分の自己中心性を自覚し、反省し、他者への感謝と奉仕に向かっていくことができるようになります。

当団体では、以下のように専門家のご指導を受けてきました。

①2009年3月3日、専門家を当団体本部施設にお招きし、上祐代表はじめ当団体の役員・指導員の全員と、希望する一般会員らに対して、内観についての講義を約4時間にわたって、実施していただきました。

②2009年3月10日、専門家を当団体本部施設にお招きし、当団体の役員・指導員ら10名に対して、約12時間にわたって、内観の実践指導をしていただきました。

③2009年3月中旬から下旬にかけて、広末副代表ら役員2名が、専門家のご指導に従い、内観の専門研修施設において1週間にわたる集中内観を実践しました。

④2009年12月下旬に、宗形指導員ら指導員2名が、別の専門家を当団体本部施設にお招きし、1日約12時間を約1週間にわたって、内観の実践指導をしていただきました。

⑤2012年4月以降は、当団体の外部監査委員でもある専門家の大学教授が、全国の当団体施設(仙台、東京、千葉、長野、名古屋、大阪、福岡)を巡回し、代表の上祐を含む各地の当団体役員や指導員・会員等に対して、内観の実践指導をしてくださっています。

こうして、当団体の指導層が専門家のご指導のもと内観を修得した上で、幹部研修においても実践を繰り返し、さらには一般会員に対しても紹介・指導し、その実践を推奨しています。

この内観においては、まず両親への感謝を培っていくことになりますが、これは、オウム事件の原点ともいえる坂本弁護士一家殺害事件の原因となった親子断絶の問題を解決することに大きく寄与しております。現に、内観を深めた結果、約10~20年ぶりに両親に面会した者が出てくるなど、親族との交流再開に顕著な効果が生じています。

また、親族との連絡を長期間絶っている他の会員に対しても、内観の実践や親族との連絡をとることを団体として推奨しております。

さらに、思想面についても改革が進み、両親の子に対する愛の中に神仏の愛が現れること、すなわち両親の延長上に神仏がましますとして、両親の本質を神仏に等しいものと位置付け、尊重しております。これは、両親の子に対する愛は偏った愛着心に基づくものとして低く見て、両親との関係を断ち切るようにと指導したオウム真理教・アレフの教義と比べれば、思想の劇的な転換を示すものともいえます。

そして、2009年5月のゴールデンウィーク中に行われた、当団体のセミナーにおいては、「オウム真理教と親子問題」に関するこれまでの総まとめとして、上祐代表による講義と教本の配布を行い、実際に、多くの会員に対して、その親子問題の解決に大変有効である「内観」の実践指導を行いました。

当団体において、2008年に、オウム真理教事件の総括を行う中で、麻原死刑囚や信者たちの親子関係に関する問題がオウムの問題の背景にあったのではないかという分析を行いましたが(※オウムの教訓ブログ『心理学的な視点に基づく、麻原・弟子・現代社会の人格分析』として掲載)、さらに2009年以降に、親子関係を含めた内観を行なうことで、元オウム信者である当団体会員の抱える親子関係の問題が、より明確になってきたという流れがありました。

当団体では、こうした総括やセミナーを通じて、以下のような内容を学習いたしました。

◎麻原彰晃の幼少期からの親子関係の不遇による、親への憎しみの形成の報告(高山文彦『麻原彰晃の誕生』〔文春文庫〕を参考に)

◎麻原がその両親を、多くの宗教に見られるように「救世主を生んだ聖母」とせず、「悪業多き魂」として切り捨てていた事実

◎それらを起因とし、独特の過酷な出家制度が形成され、最初の社会との対立となったという事実

◎出家した子どもの親の激しい反対活動を支援した坂本弁護士を敵と見て、坂本弁護士一家殺害事件につながった流れ

◎出家制度の要因として、麻原だけではなく、信者側にも、内観で気づくことになった、親への感謝や尊重の念が足りず、逆に否定的な感情を持っていたという問題

◎読売新聞のアンケート調査などを参考にした、現代日本全体に広がるゆがんだ親子関係の状況理解

◎心理学や内観などを通した親子問題の分析

◎親への感謝に気づくことのできる内観が、親子問題の解決に大変有効であること

◎内観により「健全な親への認識」が深まるという効果

これらを学習し、実際の内観の実践を行った結果、参加者の会員からは以下のような感想が寄せられました。

◎親から受けた恩で、忘れていたことをたくさん思い出した。

◎親の世話になりながらも自分は何の恩返しもしておらず、むしろ迷惑ばかりかけているのがわかって、申し訳なさに涙が止まらなくなった。

◎自分は一人で生きてきたのではないということに、今さらながら気づいた。

◎親が生きているうちに親孝行をしたいと思うようになった。

こうした内観的手法は、当団体の理念・思想の中に採用され、会員は日々実践に努めています。こうした取り組みが、当団体会員のみならず、今でもオウム信仰から脱却できない現信者・元信者の諸問題の解決に寄与できれば幸いです。