松本サリン事件から28年目を迎えて
(2022年6月27日)
ひかりの輪元オウム真理教信者一同
2022年6月27日
本日をもって1994年に発生した松本サリン事件から28年目を迎えるに際して、ひかりの輪会員のうち、事件当時オウム真理教の信者だった私たち一同は、事件で犠牲になられた8名の皆様、負傷をされた600名以上の皆様、そして被害を受けられたすべての皆様に対して、当時のオウム教団に所属した者として、あらためて深くお詫びを申し上げます。
当団体の中には、松本サリン事件に直接関与した者は一人もおりませんが、私たちは、被害者の皆様に多大な苦しみを与えてしまったオウム教団を、かつて物心両面で支えていたのであり、一つ間違えれば麻原をはじめとする実行行為者と同じ罪を犯す恐れがあったという意味では、反省と償いを深めていかなければならない立場にあると考えております。 当団体ではおおむね3ヶ月ごとに慰霊行事を執り行ってまいりましたが、 6月22日にも慰霊行事を執り行い、松本サリン事件に思いをはせ、償いの決意を新たにさせていただきました。
4年前の7月には、麻原などの実行行為者の一部への死刑が執行され、オウム事件に関して大きな節目の年になりました。続いて、一昨年11月には、被害者の皆様への賠償金のお支払いを拒否してきたアレフに対して、支払いを命じる判決が最高裁判所の判断によって確定しました。これらは、事件再発防止のためのステップになったものと考えておりますが、ひかりの輪は、2009年に賠償契約を締結して以来履行してきた被害者賠償を今後ともしっかりと履行していきたいと思います。
そして、微力ながら、私たちの償いといたしまして、事件に至るオウム信者の心情や、その根拠となった思想・教義にまで立ち返ってオウムの総括を進めて、公表してまいります。また、麻原の実態を知らない若者がその教えを信じてアレフに入会してしまうといった過ちが繰り返されないようにするための多方面の取り組みを、引き続き行ってまいります。
さらに、近年は、いわゆる陰謀論が国内外で広がりを見せ、大きな社会問題となりつつありますが、これもオウム真理教を生み出してしまった精神性と通底するものと考えられます。オウム的なものが社会に再来しないようにするためにも、以上の活動に取り組ませていただければと考えております。
先月(5月20日)、米国務省は、オウム真理教等の「外国テロ組織(FTO)」の指定解除を発表しましたが、その理由として「もはやテロ活動に従事しておらず、その能力や意思も保持していない」こと、「日本(など)が(これらの)グループによるテロの脅威を取り除くことに成功したことを示すものだ」と説明しています。
当団体の主要メンバーが2007年にオウム真理教を脱会して以降、上記のようなオウムの反省に基づく活動に努め、さらに現在もオウム真理教(アレフ)に残る信者らに対して脱会や反省の働きかけを続けてこられたのも、米国務省が示す通り、日本社会の皆様の叱咤やご指導・ご助力によるものであり、ここに重ねてお詫びと感謝を申し上げるとともに、二度と同様の事件が国内外で起きることのないよう、微力ながら尽力させていただくことをお誓いいたします。
最後に、あらためて、犠牲者の皆様のご冥福をお祈りし、心身に傷を負われた方々が1日も早く癒されますよう、お祈り申し上げます。